43得点14リバウンド8アシスト5スティールの活躍でウィザーズを粉砕
ナゲッツには家族のような連帯感があり、ヘッドコーチのマイケル・マローンはその父親役だ。では2年連続でMVPを受賞しているニコラ・ヨキッチは? 一番上の兄のように思うかもしれないが、彼はどちらかと言えば末っ子で、家族と一緒である心地良さを感じながらノビノビとプレーすることで、その才能を発揮している。
ウィザーズとのホームゲームがあった12月14日は、昨シーズンのMVPトロフィーの贈呈があった。ヨキッチはあらかじめトロフィーを受け取っていたが、空いたロッカーに隠しておいた。そして、フィールドゴール20本中17本成功、43得点14リバウンド8アシスト5スティールという驚異的な活躍を見せた試合後、兄弟たちの前で贈呈式を執り行った。
ディフェンスに難のあるウィザーズに141-128で大勝した後のロッカールームで、ナゲッツの指揮官マイケル・マローンは「128点も取られやがって」とのジョークとともに、笑顔でヨキッチに『マイケル・ジョーダン・トロフィー』を手渡した。
もっとも、試合後は身体のケアをしたり、スマホをイジったりで選手たちは何かと忙しい。ヨキッチが活躍を称えられるのは珍しいことではないので、2年目のボーンズ・ハイラントはこれに気付かなかった。冗談にしてはやけに立派なトロフィーだな、と彼は思ったそうだ。
今回からMVPのトロフィーには『マイケル・ジョーダン・トロフィー』という名が冠せられた。ジョーダンの背番号と優勝回数から23.6インチ(約60cm)の大きさとなったトロフィーを、ヨキッチは「カッコ良いし、斬新だね。これを最初に手にすることができてうれしいよ」と喜んだ。
6年前のこの日は、ヨキッチが初めてナゲッツのファーストオプションに据えられ、エースとしての第一歩を踏み出した日だ。当時就任2年目のマローンは、3年目のユスフ・ヌルキッチと2年目のヨキッチのツインタワー構想を進めていたが、9勝16敗と結果が出ずに方向を見直す必要に迫られていた。マローンに何と言われたか、それがどの試合だったのかヨキッチは覚えていないそうだが、ヨキッチは「全く勝てるように思えなくて、コーチに彼をベンチに置くべきだと言いに行ったのは覚えている」と言う。
そこからヨキッチは少しずつ成長してきた。きっかけは覚えていなくても、その過程をヨキッチはよく覚えている。「僕は旅を続ける中で、人との繋がりを作ってきた。その人との繋がりは、僕がここに長く留まることになった理由でもある。記録は壁に貼っておけばいいけど、みんなと日々取ってきたコミュニケーションは記憶にずっと残るだろう。僕はここで本当に素晴らしい友人に恵まれ、彼らに支えられているんだ」
ナゲッツは17勝10敗で西カンファレンスの3位、上にはペリカンズとグリズリーズがいるが、ゲーム差はわずか1だ。開幕当初は勝ってはいたが試合内容はあまり良くなかったものの、ジャマール・マレーが調子を取り戻し、ヨキッチだけが奮闘する状況は変わりつつある。アーロン・ゴードンは彼の良い相棒になり、いずれマイケル・ポーターJr.も戻って来るだろう。ヨキッチは今まで通りのプレーを続けていても、ナゲッツには浮上の要素を数多く有している。