デイビス任せだったインサイドへの意識が劇的に変化
レイカーズはトレードデッドラインでルカ・ドンチッチを獲得したものの、アンソニー・デイビスに代わるビッグマンの獲得に失敗したこともあり、今シーズンは厳しいと見られていましたが、ここ10試合で8勝と調子を上げ、順位も上位シードとなる4位まで上げてきました。その好調の要因は、インサイドの要を失ったはずが、むしろインサイドで強さを発揮できるようになったことです。
直近10試合のペイント内失点は42.8点で、デイビスがいた1月までの49.2点から大きく向上していますが、ブロック数は4.9から4.7へ減っており、リムプロテクター不在の影響は出ています。それでも強力なリムプロテクターがいないからこそ、チーム全体のカバーリング意識が高まり、そもそもペイントへ侵入させなくなったことで、ショートレンジでの被アテンプトが減ったことが大きな改善ポイントです。
また、ジャレッド・バンダービルドやドリアン・フィニー・スミスといったディフェンダーのプレータイムが増え、高さはなくとも平面で追いかける能力が向上して、相手にタフショットを強いるようになってきました。懸念だったドンチッチもプレーを読む能力の高さでスティールを量産しており、このチームディフェンスにハマっています。強力なリムプロテクターだったデイビスがいなくなったことで、チーム全体で守る形が機能しているのです。
同じ現象はオフェンス面でも起きています。チームのリーディングスコアラーだったデイビスですが、それはレイカーズがペイント内のスペースを大きく空け、デイビスが能力を発揮しやすいシステムのおかげでもありました。今はそのスペースをレブロン・ジェームズやドンチッチがドライブで使うだけでなく、誰もがカットプレーで飛び込んでくるようになりました。
総じてデイビスというインサイドの核がいなくなったことで、デイビス任せだったインサイドへの意識がチーム全体で高まり、攻守においてバランスの良いチームへと変貌したのです。ドンチッチは21得点、フィールドゴール成功率37%と得点面で本領を発揮できていませんが、プレーメーカーとしてチームオフェンスを構築しており、負担の減ったレブロンが若返ったかのように得点を量産する面白い変化も起きています。チームが単純な個の積み上げではないことを示すレイカーズの変化は、西カンファレンスを面白くしてくれています。