富樫コーチ「あれだけ敵にパスをしてしまえばバスケットにならない」
ウインターカップ2日目、男子1回戦屈指の注目カードである福岡大学附属大濠(福岡)vs開志国際(新潟)が行われた。
結果から言えば、福大大濠が84-61と快勝したが、勝負を分けたのは55-30と大差をつけた前半にあった。福大大濠は湧川颯斗を筆頭に強気なリングへのアタックを連発し、相手のファウルトラブルを誘発した。その結果、このクォーターだけで15本ものフリースローを獲得し10点を挙げた。さらに留学生プレーヤーがいる開志国際を相手にしてもインサイドの攻防で後手を踏むことなく、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで突き放した。
そして、ここまでの差が開く要因となったのが福大大濠のオールコートプレスだった。片峯聡太コーチは言う「湧川を1線目にしているところで縦パスは簡単にいかない。ちょっと浮いたパスや、見えないところからカットを狙う。2線目に気の利くガードを入れていて、それが上手くいきました」
193cmの湧川をトップに置くことでパスの選択肢を狭め、他のメンバーがパスを先読みしつつ連動して球際を狙う。これがハマったことで第1クォーターだけで10個ものターンオーバーを誘発し、相手のミスから3ポイントシュートに3点プレーとなるバスケット・カウントを連発したことで大量リードを奪った。
開志国際の富樫英樹コーチも「前を向けなかったのが敗因」とゾーンプレスを突破できなかったことを悔やんだ。「あれだけ敵にパスをしてしまえばバスケットにならない。ガードにボールを入れるところを何本もカットされて、そこでビビッてしまいました。横を向いていてはバスケットは成り立たない」
ゲームキャプテンの岩下准平はゲームハイの20得点を記録するとともに、4アシスト5スティールとマルチに活躍した。それでも「ピックからの判断が悪かった。もうちょっと考えれば、ブロックされずにジャンプシュートに行けた」と反省を口にした。岩下は28分のプレータイムで1ターンオーバーと安定感のプレーを見せたが、「ポイントガードとしてゼロターンオーバーを目標にしているので、一つのミスでも重く考えてやっています」と己を律している。福大大濠は最高の形で初戦の山場を乗り越えた。
もっとも、明日の2回戦では習志野市立習志野(千葉)、ここに勝っても3回戦では中部第一(愛知)と洛南(京都)の勝者と、強豪との対戦が続く。岩下の言葉のように、今日の試合からも課題を見いだしてチームとしての成長を繰り返さなければ、望むところまではたどり着けない。