ペイサーズ

ドマンタス・サボニスを中心にタレントが揃うも、主力が揃う目途が立たず

昨シーズン、オフェンス改革に取り組んだものの、それがチームのバランスを崩すことに繋がりプレーオフに進めなかったペイサーズは、名将リック・カーライルを新ヘッドコーチに迎え、チームを立て直すこととなりました。再建ではなく立て直しであり、プレーオフへの返り咲きを狙うシーズンとなります。

インサイドで抜群のプレーメーク能力を誇るドマンタス・サボニスを中心に組み立てた昨シーズンでしたが、それが逆にオフェンスを単調にし、層の厚さという強みを薄めてしまいました。カーライルは選手個々の武器を使い分けるのが上手いヘッドコーチだけに、サボニスへの依存度を落とし、オフェンスパターンを増していくことになりそうです。プレシーズンでもマイルズ・ターナーが積極的なドライブを見せるなど、明らかに昨シーズンとは違うオフェンスになっています。

目立った補強はないものの、ルーキーのクリス・ドゥアルテは完成度の高いプレーヤーで、フィジカルコンタクトにも負けないシュート力を発揮しています。アイザイア・ジャクソンはこれまでペイサーズにいなかったアスレチックなビッグマンとして、ディフェンスでの貢献を見せています。ともに即戦力として機能しており、ドラフトが有効な補強になりました。

ベンチメンバーを含めて、全員が活躍するペイサーズらしいスタイルが復活しそうな雰囲気があるのは良い傾向ですが、ケガ人が多くチーム構成が難しくなってもいます。復帰時期が未定のTJ・ウォーレンに続いて、エドモンド・サムナーがシーズンアウトとなり、キャリス・ルバートも開幕に間に合いません。ハンドラーが足りておらず、サムナーをトレードしてロスター枠を空け、補強に動く必要が出てきました。

ペイサーズ

ケガはペイサーズが悩まされ続けている問題でもあります。この3年間、常に誰かしら主力を欠いた状態で戦っており、戻ってきても再びケガをする悪い流れも続いています。層が厚いからこそカバーしてきたものの、偶然の事故では片付けられない頻度です。『プレーオフで勝てるチーム』になれない理由の一因もケガにあり、コンディショニングの改善はこのチームがステップアップための最重要課題となります。

サボニス、マルコム・ブログドン、ウォーレン、ルバート、ターナーと主力が全員揃えば、どこからでも点が取れ、ディフェンスの穴もなく、バランスアタックを実現できれば強力なチームになります。しかし、戦術以前に全員が揃う目途がなかなか立たず、どの程度勝てるのか予想するのが難しいチームでもあります。

昨シーズンに躍進したホークスやニックスだけでなく、大型補強のブルズなど、競争が激しくなった東カンファレンスで、ペイサーズがどこまで強さを取り戻すのか。今シーズンの立て直しが思うように進まないのであれば、再建へと踏み切る必要が出てくる可能性もあります。シーズン開幕の時点で、ペイサーズは将来の岐路に立っていると言えるのかもしれません。