ジャ・モラント&ジャレン・ジャクソンJr.

スティーブン・アダムスを加えたスターターは、派手さはなくとも超強力

昨シーズンのグリズリーズは、新設されたプレーイン・トーナメントで絶好調のステフィン・カリーを擁するウォリアーズを撃破するアップセットを起こし、プレーオフに進みました。ファーストラウンドでジャズに1勝4敗で敗れたものの、ポストシーズンを経験したことは若い選手たちに大きな成長をうながすことになりそうです。オフには積極的にトレードに動いて戦力補強をしたものの、30歳以上の選手はおらず、ロスターの大半が25歳以下の若いチームだけに、さらなる成長を期待したくなります。

高い身体能力を誇りながら、緩急を巧みに使った駆け引きと、落ち着いたゲームメークで高い評価を得るジャ・モラントですが、シュート力には課題があり、得点でチームを引っ張るタイプではありませんでした。しかし、ポストシーズンの戦いでは果敢にドライブで崩していき、平均30得点を超えてきました。重要な試合でプレーレベルを上げられる姿は『スーパースター』と呼ぶに相応しく、プレーインとプレーオフの数試合で、ワンランクもツーランクも上のプレイヤーに進化した感があります。

モラントの奮闘に呼応するように、チームメートたちも集中力を増したプレーとハードなディフェンスを見せ、ポストシーズンがもたらす経験値の大きさを感じずにはいられませんでした。

その中で遅れを取っていたのが、シーズンの大半となる61試合を欠場していたジャレン・ジャクソンJr.です。2019-20シーズンには39.4%を記録した3ポイントシュートとリムプロテクト能力の高さでインサイドの要として期待されている彼ももう4年目のシーズンを迎えており、そろそろ明確な結果を残したいところです。

グリズリーズ

万能でポテンシャルの高さを感じさせるジャクソンJr.ですが、インサイドのフィニッシュが雑になることが多く、またディフェンスではファウルの多さが足を引っ張っています。高さとスピードを併せ持ったプレーは攻守に効いている一方で詰めが甘く、チームにとってプラスなのか、マイナスなのか分からない悩ましい部分があります。やっていることは間違いないだけに、プレー精度を上げればグリズリーズの躍進に繋がってきます。

新たにスティーブン・アダムスを加えたスターターは、派手さはなくとも意思疎通がとれた超強力なユニットになっていますが、ベンチメンバーが入るに従って少しずつバランスが崩れてきます。特に目立つのはビッグマンのところで、ワンビッグではディフェンスに不安が残り、かといってツービッグにするとオフェンスでスペースを保つことが難しくなります。ここはまさに万能ビッグマンに求められる役割であり、ジャクソンJr.にはチームの歯車の働きだけでなく、一人で攻守を劇的に改善する選手へとレベルアップすることが求められます。

ドラフトで素材型の選手を避ける傾向があるグリズリーズの中で、モラントとジャクソンの両輪はまだまだ伸びる可能性がある貴重な若手でもあります。スーパースターへの進化を見せているモラントに並び立つ存在として、飛躍を願うシーズンになります。