オフェンスが機能しない中で孤軍奮闘の22得点
初戦は千葉ジェッツを相手に55-114とダブルスコアの大敗。昨日の5位決定戦では、代表選手を3人欠いて8人でローテーションを回す川崎ブレイブサンダースに69-74で敗れた。横浜ビー・コルセアーズにとってのアーリーカップは苦いばかりの結果となってしまった。
そんな中でも、川崎戦でゲームハイの22得点を記録し、相変わらずのオフェンスマシーンぶりを発揮したのが川村卓也だ。苦しい場面で託されたボールを得点へとつなぎ、ピック&ロールから外国籍選手を生かしたり、攻めあぐねた試合で唯一、オフェンスに流れを生み出していた。
「選手も入れ替わって試し試しの部分もあり、個人で言えば呼吸だったり、自分のシュートセレクションをチームメートに見せることができて、自己アピールと仲間のプレーの認識の部分に関して良い収穫があったと思います」と、川村は大会を振り返る。
だが、チームとしては2試合ともに低調な出来で、当然ながら満足にはほど遠い。「この時期にやるゲームは、ヘッドコーチがチームに落とし込むバスケットをどれだけコートで表現できるかなんですけど、コーチの求めるレベルは高くて、100あるとしたらこの2日間のゲームでは10にも届いていないぐらい」
チーム作りの進捗には「ヤバいって思いです」
リーグ開幕まであと4週間。まだ準備期間ではあるが、「僕はヤバいって思いです」と、自分が感じる焦りを素直に語る。「僕と竹さん(竹田謙)は昔の経験があり、トム(ウィスマン)がどんなバスケットを求めているかは理解しているつもりですけど、他の多くの選手が理解に苦しんでいる部分があったり、要求が高くて表現できなかったり。この2試合を終えて、もうちょとハイペースでチーム作りをしていかないといけないと感じました」
そんな中でも、2試合目の第4クォーターに意地を見せられたのは収穫だ。川崎戦の第4クォーターに限れば24-8と圧倒。勝算が薄い中でも個々が試合を捨てず、ワンマンプレーに走ることもなく自分の責任を果たしたことで、遅まきながら見せ場を作った。川村はこの10分間を「ゴールにアタックすることから縦にバスケットをすることが、少しは表現できた」と振り返る。
「あとは、どんなに強い相手でも自分らのやることを貫き通して、徹底してやれるか。そこは全然できていない部分なので、今日の第4クォーターみたいなものを今後はすべてのクォーターで表現すること。それがトムが求めている最低限のレベルだと思います」
結果が出ず「自分のプライドにも感じるものはある」
どこまでも勝利にこだわる男だけに、勝てない状況が続くことには忸怩たる思いを抱えている。「なかなか結果が出なくて2年間同じことを繰り返して、今回これだけの選手が入れ替わりました。自分のプライドにも感じるものはありますし、それよりも何よりも、これだけ結果が出なくても応援してくれているブースターの皆さんに何も返せていないというのが非常に心残りです」
それでも、やはり見据えるべきは開幕であり、そこから始まる60試合の長いシーズンだ。チーム作りの進捗に焦りを感じてはいても、始まる前から必要以上にネガティブには考えない。その点、今の川村にとって大きいのはウィスマンの存在だ。
「僕はトムがコーチになってくれて、このチームに来てくれて今シーズンは非常にワクワクしていて、バスケットに楽しんで取り組めます」と川村は言う。「チームはなかなかできてきませんけど、僕がコーチに対する忠誠心をしっかり持って、彼についていく姿勢を見せればもっとみんながエネルギッシュになっていくんじゃないかと勝手に思ってます」