カイル・クーズマ

選手層は分厚くなったが、クーズマに求められるのは『エース級の働き』

ウィザーズはラッセル・ウェストブルックとのトレードでカイル・クーズマ、ケンテイビアス・コルドウェル・ポープ、モントレズ・ハレルと主力クラスの3選手を獲得して、新たなチームに生まれ変わった。中でも最も多くの期待を寄せられるのは、レイカーズ生え抜きの『ヤング・コア』だったクーズマだ。NBAキャリア4シーズンでプレーオフ進出を逃すどん底も、NBA優勝も経験してきたクーズマには、ウィザーズ移籍を機にブラッドリー・ビールに並ぶエース級の選手へと飛躍することが期待される。

『NBC SPORTS』の取材に応じたクーズマは「ピック&ロールから相手を崩し、ドライブからでもミドルレンジからでも素早く効率良くシュートを打てるよう、このオフシーズンの練習に励んできた。高いレベルでやれると信じているよ」と語る。

ここ2シーズンはアンソニー・デイビスの控えに回り、試合状況に応じたプレーを求められたが、ウィザーズでは自分がメインとなってチームを引っ張るつもりだからこそ、オンボールでのプレーのレベルアップに力を入れている。

「昨シーズンのレイカーズでもパスに重点を置いて、得点するだけでなくチームメートをオープンにするよう心掛けた。今シーズンもその仕事はやるつもりだ。(八村)塁のオープンショットを作り、ブラッド(ビール)にイージーシュートを打たせ、スペンサー(ディンウィディ)がドライブするスペースを作って、(ダニエル)ギャフォードにはピックからのパスを出す。あらゆる面でチームを助けられると思う」

彼らが加わったことで、ウィザーズの選手層は昨シーズンとは比較にならないほど分厚くなった。ビールは別格としても、八村もトーマス・ブライアントもデニ・アブディヤもプレータイムは保証されておらず、新たなヘッドコーチとなったウェス・アンセルドJr.の下でチーム内競争のレベルは一段階も二段階も上がる。それでもクーズマは攻守両面で頭一つ抜けており、八村とともにウイングとして先発起用されることになるだろう。

しかし、ウェストブルックほどのスペシャルな存在を失ったのだから、その戦力ダウンと差し引けば、現状では昨シーズンから大きくチーム力が上がったわけではない。今のウィザーズは30代の選手がおらず、20代後半の働き盛りの選手が中心となるチームだ。ローテーションを任せられる選手は多いが、この中からエース級の働きができる選手が出てこなければ、この1年で一気に競争力の増した東カンファレンスを勝ち抜くのは難しい。

この現状を打開するには大ブレイクする選手が複数出てくる必要があり、その筆頭がクーズマだ。「このチームにはポテンシャルのある選手が揃っている」と語るクーズマがまず確たる結果を残し、チームメートのポテンシャルを引き出せるか。ウィザーズが現状を打破するには『クーズマ効果』が不可欠だ。