「経験を積んでいって、次に繋がるようになる」
勝てば決勝トーナメント進出、負ければ3戦全敗で大会を終えるというアルゼンチン戦との大一番に、日本代表は77-97で敗れた。日本のエース、八村塁はシュートタッチが悪く、34得点を挙げたスロベニア戦では高確率で決まったジャンプシュートが全くと言っていいほど決まらずに、前半の得点はわずか2。激しく当たり、リズムに乗れそうなタイミングではすぐにファウルでプレーを止めるアルゼンチンの老獪なディフェンスに翻弄された。
後半には持ち直して13得点を挙げたものの、劣勢を巻き返すには至らなかった。11リバウンドも記録してダブル・ダブルとなったが、そこに満足感はない。39分とほぼフル出場したものの、消極的になってしまうシーンも何度か見られた。
「彼らはすごくスカウティングしてきて、僕にボールを持たせない、僕がボールを持っても2人、3人来るようにやっていた。相手のチームディフェンスがしっかりしていた」と八村は試合を振り返る。「その中でチームで前半はしっかりと食らい付いたと思います。後半は僕らのディフェンスが甘くなって、そこで負けたんじゃないかなと思いました。僕らはディフェンスが良ければオフェンスも乗れるチーム。そういうことを経験してどんどん強くなっていくと思う」
これで3連敗。2019年のワールドカップに続いて、世界での『1勝』を挙げることができないまま大会が終わった。それでも八村は前向きな姿勢を崩さない。
「結果としてはこうなってしまったんですけど、僕らはすごく若いチームで、他のチームはオリンピックに4回、5回と出ていたり、ワールドカップに毎回出ているようなチームばかりです。そういう中で僕らもこういう大会に出て、経験を積んでいって、次に繋がるようになると思います。僕らはこれからのチームで、前のワールドカップに比べたら成長しているので、チームとして次に繋げていきたい」
初参加のオリンピックに「すごく誇りに思いますし、うれしかったです」
そのオリンピックを「すごく特別な大会でした」と八村は振り返る。「小さい頃、バスケを始めたぐらいの時からオリンピックを目指してやってきて、こうやって出れて旗手をやらせてもらったり、ホームコートでバスケができることに対して、観客はいなかったんですけどすごく誇りに思いますし、うれしかったです」
「観客がいなかったので、このオリンピックでは実感というのは難しかったんですけど、世界でも本当にトップクラスのチームが集まって、こうやってやれるチャンスはそうないですし、僕らもこういう結果になってしまったんですけど、これからに繋がる3試合になったんじゃないかと思います」
スペイン戦で20得点、スロベニア戦で34得点、そしてアルゼンチン戦で13得点。平均22.3得点は堂々たるエースの数字だ。日本代表の挑戦は望んでいたよりも早く終わってしまったが、これもチームが強くなるためのステップであり、八村自身にとっても得がたい経験となった。八村はしばし休んだ後に、NBA3年目のシーズンへと向かう。