「自分の役割はディフェンスとドライブでペイントアタックをすること」
東京オリンピックでA代表公式戦デビューを果たしたバスケットボール女子日本代表の東藤なな子は、「ホッとしています。うれしいです」と74-70で勝利したフランス戦後に語った。
代表チーム最年少、現在20歳の東藤がA代表に初招集されたのは2020年の1月のこと。2019年のU19ワールドカップには主力として出場したが、A代表での公式戦経験はない。そのデビュー戦がオリンピックの舞台ともなれば緊張するのは当然だ。
それでも初戦となったフランス戦での東藤のプレーからは、そんな素振りは感じられず、11分38秒の出場で5得点1スティールを記録して勝利に貢献した。
立ち上がりでビハインドを背負った日本だが、第2クォーター序盤で連続3ポイントシュートを沈めたことで逆転に成功し、フランスの意識が外に向いたところを突いて、東藤はアグレッシブなドライブを仕掛けて得点を重ねた。この東藤のドライブにより、フランスが日本のペイントアタックを警戒しだすと、今度は三好南穂がディープスリーを沈めるなど、フランスのディフェンスを翻弄させた。
東藤本人も「自分の役割はディフェンスとドライブでペイントアタックをすることなので、今日はそれができたかなと思います」と手応えを得ている。
本人が言うように、東藤の持ち味はディフェンスと果敢なドライブだ。174cmとサイズはないが、当たり負けしない激しいディフェンスは指揮官のトム・ホーバスも評価している。実際にフランス戦でも身体を張ったディフェンスでフランスのドライブを許さずに自身の役割を全うした。それでも東藤は「ディフェンスで相手にやられた部分があったので、もっと集中していきたいです」と満足していない。
さらに限られたプレータイムで5得点を記録したが、これも満足するのではなく「やっぱり髙田(真希)さんも長岡(萌映子)さんも最後の決勝点を決めていて、すごい先輩だなとあらためて思いました」と東藤は言う。
彼女が言うように、勝負どころでの髙田や長岡のプレーは流石のものだったが、アグレッシブなプレーでチームに勢いを与えることができるのは、若手の東藤ならではの持ち味だ。この大舞台でたくさんのことを吸収して、目の前の試合でチームの勝利に貢献し、そして今後の女子日本代表を引っ張っていく存在になることを期待したい。