山谷「私はゼロからイチを作る性分、1から10にするには彼が適任」
茨城ロボッツは7月1日付けの経営体制の変更を発表し、会見を行った。代表取締役社長を務めた山谷拓志は非常勤の取締役となり、滋賀レイクスターズで社長を務めた西村大介が新たな代表取締役社長に就く。
今日、2人揃って臨んだ会見で、山谷は感謝とともにあらためて昇格の喜びを語った。「前会社の破綻によりシーズン途中に新会社を作ってスタートしてから7年弱、茨城県の方々にはたくさんサポートしていただきました。昇格が決まる前に辞めることを決めていたのですが、チームが昇格で花を添えてくれたのは本当にうれしいし、感謝を申し上げたい」
山谷は一部報道があったように、ヤマハ発動機がラグビーの新リーグ参入に向けて新たな事業会社を立ち上げるに際して、社長に迎えられた。「自分勝手な理由での退任なので、後を任せられる人を選ぶ責任がありました。他の候補者がいたわけではなく、彼がベストな人選だと思ってピンポイントで話していたので決まって良かったです」と山谷は西村を紹介した。
2人はともにアメリカンフットボール出身で、山谷が社会人で、西村が学生でライスボウルで対戦した経験もあるとのこと。また西村によれば、スポーツビジネスを志した際に、人を介して学年では6つ上の山谷にアドバイスを求めに行った時からの仲だそうだ。
ロボッツは経営不振に陥った際に山谷が陣頭指揮を執って立て直し、Bリーグ5年目の今シーズンに初のB1昇格を成し遂げた。後任社長の打診を受けた際の率直な感想を西村は「正直、これから面白いのになぜ譲るのかと思いました」と明かすが、山谷は「私はゼロからイチを作るスタートアップが性分、1から10にするには彼が適任です。これからのロボッツにとっても素晴らしいことで、来てくれて感謝しています」と説明している。
「行政やスポンサー、ファンがここまで協力的で熱い場所は他にないんじゃないか」
西村は外から見ていたロボッツの印象を「とにかく新しいことをやる。言葉を選ばずに言うと滅茶苦茶な、アグレッシブなクラブ。実際に中に入ってもその印象は変わらず、みんな何か新しいことを仕掛けてやろうと思っています」と語り、こう続ける。
「行政やスポンサー、ファンがここまで協力的で熱い場所は他にないんじゃないかと感じました。滋賀と長崎、それまでは京都で大学スポーツの指導者を11年やって、いろんなかかわりを経験してきましたが、ここはちょっと異質だな、皆さんに支えてもらっていると強く感じました。地域のプロスポーツクラブは、地域そのもののパワーが強さや盛り上がりに直結します。これだけの熱さ、支援をいただいているので、日本一のクラブを作りたい。山谷がB1までチームを引っ張ってくれたので、あとは任せてくださいと言いたいです」
それでも『日本一』への道は決して平坦ではない。山谷は「Bリーグは市場が拡大して、もうすぐ20億のクラブも誕生すると思う。そこに食い込んで行くには同じことをやっていてもいけない。日本一の目標を掲げるわけですので、2026年にB1に入るのはもちろん、そこからビッグクラブ、トップクラブを目指すハードルは非常に高い」と難しさを語る。それでも後任の西村について「それを乗り越える能力はあると思っているので期待しかありません」と語るとともに「できることはサポートしていきたい」と、今後もチームの支えになることを約束している。
西村はこれから自らが舵を取るロボッツの運営について、「具体的には売上やアリーナのVIPラウンジ、平均入場者数4000人の壁があるが、一番意識するのは4000人です。皆さんに来ていただかないと仕方ない。認知を上げなければいけないし、成績も上げなくてはいけない」と課題を語り、次のような抱負を語っている。
「ロボッツらしいアグレッシブさ、日本のスポーツ界で初めてやりました、みたいな話題作りをしたい。それで2026年、新B1リーグに参入して、それがまた皆さんの誇りになる。そんなチームにしていきたいです」