32勝50敗 東カンファレンス13位
フィールドゴール率43.9%(リーグ27位)
3ポイントシュート成功率34.6%(リーグ19位)
1試合平均得点98.4(リーグ27位)
1試合平均リバウンド44.4(リーグ10位)
長期プランから短期プランへと方針を大転換
ブルズではマイケル・ジョーダンとともに2度の3連覇、レイカーズでもコービー・ブライアントとシャキール・オニールとのコンビを擁して3連覇を果たし、NBAに一時代を築いたフィル・ジャクソン。
その名将がニックスの球団社長に就任したのは、2014年3月のこと。自らも現役時代にニックスで12年プレーしたジャクソンは、カーメロ・アンソニーを軸とする名門チームの再建を託されたが、この2年間は失敗の連続だった。
ヘッドコーチ時代に成功をもたらしたトライアングル・オフェンスへの『信仰心』は根強く、当時は指導者として未経験だったレイカーズ時代の愛弟子デレック・フィッシャーを新ヘッドコーチに据えたが、2014-15シーズンは球団史上ワーストの17勝65敗という屈辱を味わった。翌2015-16シーズンはアンソニーと新人クリスタプス・ポルジンギスへの依存度が高く、競争力が上がらないままシーズンを終えた。
そして迎えた今夏のオフ、ジャクソンはある大きな決断を下した。時間をかけてチームを作り上げる長期プランをあきらめ、大型補強による短期再建プランへと方針を大幅に転換したのだ。
手始めに、ブルズとのトレードで2011年のシーズンMVP選手、デリック・ローズを獲得。同じくブルズからフリーエージェントとなったビッグマンのジョアキム・ノアとも契約を結んだ。ブランドン・ジェニングス、コートニー・リーというバイプレーヤーも手に入れ、短期間で選手層を厚くしてみせた。そして、この新チームを託すヘッドコーチには、元サンズで指揮官を務めたジェフ・ホーナセックを招聘している。
戦力は十分、あとは指揮官の腕の見せどころ
NBA史上最年少でMVPに輝いたローズは、ここ数年ケガに泣かされたとはいえ、おちぶれるにはまだ早い。心機一転して臨む今シーズンで現在の契約が満了するため、本人のモチベーションは高い。
インサイドには、ハッスルプレーと強いハートが持ち味の守備のスペシャリストとして知られるノアが加わり、戦力は急激にアップ。昨シーズン新人王候補となったポルジンギス、エースのアンソニーとの強力なフロントコートが完成した。
バックコートの一角を担うと思われるリーは、バスケットボールIQが高く、3ポイントシュートも打てるベテラン。ローズの控えを務めるジェニングスは、新人時代の2009-10シーズンに1試合55得点を記録した突破力と爆発力を兼ね揃えた選手だ。
また、レイカーズ時代からジャクソンの帝王学を知るサーシャ・ブヤチッチ、NBAでは新人ながらも欧州で経験を積んだウィリー・エルナンゴメス、ミンダウガス・クズミンスカスというジョーカー的なインターナショナル選手がベンチを固めている。
負傷歴のあるアンソニー、ローズ、ノア、ジェニングスが良好なコンディションを保ち、ホーナセックの下で個々のタレントがチームとしてまとまれば、東カンファレンスの上位争いに食い込めるだけの潜在能力は備わっているだろう。
ホーナセックのヘッドコーチ就任により、戦術も大幅に変更されるはずだ。昨シーズンのニックスは、48分間での平均ポゼッションでリーグ26位の95.83に終わった。しかし、サンズ時代アップテンポなオフェンスで成功を収めたホーナセックは、就任会見でオフェンスのペースアップを明言している。
多彩な得点バリエーションを持つアンソニーを軸に、円熟期を迎えゲームメークの腕を上げるローズ、広いエリアから得点を狙えるポルジンギス。この3人がシーズン序盤からケミストリーを構築できれば、見応えのあるオフェンスが展開されるに違いない。
ロスター刷新という思い切った策を講じた以上、4年ぶりのプレーオフ進出以外は失敗も同然。NBAのフランチャイズの中でも熱狂的で、チームの成績にシビアで知られるニューヨーカーの期待は、ここ数年で最高潮と言っても過言ではない。
のるかそるか、名門ニックスが大勝負に打って出た。
2016-17シーズン ニックス予想ロスター
[PG]
デリック・ローズ、ブランドン・ジェニングス
[SG]
コートニー・リー、サーシャ・ブヤチッチ、ジャスティン・ホリデー
[SF]
カーメロ・アンソニー、ランス・トーマス、ミンダウスガス・クズミンスカス
[PF]
クリスタプス・ポルジンギス、カイル・オクイン、ウィリー・エルナンゴメス
[C]
ジョアキム・ノア、ケビン・セラフィン、マーシャル・プラムリー