ジュリアス・ランドル

「何か課題があって、それを解決しようとすることが成長に繋がる」

ニックスをプレーオフに導いたジュリアス・ランドルが、2020-21シーズンで最も成長した選手に送られるMIP賞を受賞した。

2014年のNBAドラフト1巡目7位でレイカーズに指名されたランドルにとって、今シーズンはキャリア7年目。最初のシーズンはデビュー戦、たった14分プレーしただけでシーズン絶望のケガを負い、その後の3シーズンも名門復活という大きすぎる期待に応えられなかった。ペリカンズでの1シーズンを経て、今はニックスでの2年目を迎えている。

今シーズンの24.1得点、10.2リバウンド、6.0アシストはいずれもキャリアハイ。レイカーズ時代にはほとんど打つことのなかった3ポイントシュートは1試合平均5.5本を放って2.3本(成功率41.1%)を決めるようになり、アシストも今シーズンはそれまでの約2倍と大きく増えた。

そして何より、リーダーとして若いチームを引っ張り、ニックスを長い長い低迷から抜け出させた。MIP賞の他の候補だったナゲッツのマイケル・ポーターJr.とピストンズのジェレミー・グラントよりも、『チームを勝たせた』インパクトは大きい。

ペリカンズのブランドン・イングラムに続き、かつてレイカーズの将来を担うとされた選手が2年連続でMIPを受賞することになった。そしてニックスにとっては、その長い歴史の中で初めてチームからMIP受賞選手を出したことになる。

MIP受賞は現地25日のチーム練習後に知らされた。サプライズで受賞を知らせたのは、息子のカイデン君。ニックスがビッグマッチに敗れると悔しさで大泣きする様子がSNSで何度かバズり、ニックスファンの感情を代弁することで人気の彼が、MIP賞のトロフィーを大好きな父に手渡した。

もっとも、今のランドルはホークスとのプレーオフファーストラウンドをどう勝ち抜くかしか頭にない。第1戦は大接戦の末に、トレイ・ヤングの大活躍によりホークスが勝利している。ランドルはフィールドゴール23本中6本しか決められず、15得点と精彩を欠いた。彼の奮起がない限り、ニックスの勝利はおぼつかない。

それでもランドルは現地26日の第2戦に向けて非常にポジティブで、次のように語る。「シュート、チャンス、チャレンジが僕のエネルギーになる。何か課題があって、それを解決しようとすることが成長に繋がる。僕にとっては本当に楽しいことだ。シリーズで4勝する、この挑戦をすごく楽しんでいる」

「プレーオフだから、どんな試合も簡単ではない。ホークスはすごく集中して良いプレーをしていたよ。レギュラーシーズンとは違ってミスはほとんど許されないし、それが勝敗を左右する。ホークスは僕を警戒してきたけど、見たこともない対策をされたわけじゃない。今までやってきたことを変えなきゃ勝てない、とは思わない。次の試合ではアジャストして、もっと良くなるさ」

ニックスは若くて有望なタレントの多いチームだが、ランドルのパフォーマンスに左右される部分も大きい。今回のMIP受賞が個人として、そしてチームリーダーとしてのランドルの成長をさらに加速させるか。そのプレーに注目したい。