エバンスと今村がオフェンスを牽引
5月15日、琉球ゴールデンキングスがチャンピオンシップのクォーターファイナル初戦で富山グラウジーズと対戦。持ち味のディフェンスで主導権を握ると、攻守の素早い切替えからアーリーオフェンスでテンポよく得点を決め92-75で快勝した。
第1クォーターの出だし、富山はジュリアン・マブンガを起点にしたオフェンスで確実に得点を重ねて先手を取る。琉球もドウェイン・エバンスのアタック、牧隼利の3ポイントシュートなどで応戦するが、終盤にマブンガの3ポイントシュート、スピンムーブから豪快なダンクを叩きこんだスミスによる連続得点で富山が5点をリードする。
第2クォーター、ともに相手ディフェンスを崩せずに膠着状態が続いたが、オフィシャルタイムアウト明けに今村佳太と田代直希の連続アウトサイドシュート成功で、琉球が29−28と試合をひっくり返す。そして終了間際にはハッスルプレーでリバウンドをもぎ取ると、直後のオフェンスでフローターを成功させるなど、攻守に渡って躍動した今村の活躍で琉球が4点リードで前半を終える。
琉球は第3クォーターに入っても富山のオフェンスファウルを誘発するなど、激しい守備を続けることで主導権を渡さない。富山も岡田侑大、前田悟の奮闘で粘るが、ここで琉球は再び守備で流れを引き寄せる。
集中力の高いディフェンスでジャック・クーリー、今村が連続でスティールし、さらに得点へと繋げた。そして残り30秒、琉球はこの日、27得点の今村が3ポイントシュートを沈めると、直後のポゼッションでもエバンスのブロックショットから今村が速攻を決めて12点のリードを奪った。
第4クォーターも琉球は、ミドルレンジが空く富山ディフェンスの隙を着実についてエバンス、今村らが着実に加点。終盤には岸本隆一が十八番の長距離弾を連続で沈め、危なげない展開で楽々と逃げ切った。
「富山さんを75失点に抑えられたのが一番の勝因」
琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは、ディフェンスで掴んだ勝利と強調する。「チャンピオンシップが始まり大きなプレッシャーを抱えて今日の試合に臨んだ中、僕らの持ち味である思い切りの良いディフェンスをできたのは良かったです。1試合90点近く取る富山さんを75失点に抑えられたのが一番の勝因だと思います」
また、堅守の理由は戦術云々ではなく選手個々がハードにプレーしてくれた結果だと称えている。「本当にシンプルに一人ひとりのディフェンスの意識がいつも以上に高かった。富山さんの個の力に対して、みんながよく頑張ったと思っています」
そして、34得点6アシストと大暴れだったエバンスはチャンピオンシップだからといつも以上に気合を入れるのではなく、より冷静になることを重視したのが良かったと明かす。「一歩、引いた状態で周りの状況をしっかり見ることを意識していました。そこで今、自分がどうすべきか、何ができるのかを考えながらプレーしました」
さらに「自分は良い選手だから、こういうスタッツを挙げられると思っています(笑)」と冗談を言った後、アシストが増えたことが自分の大量点につながったと続けている。「牧、(今村)佳太、キシ(岸本)が自分のパスからシュートを決めてくれたことで、波に乗ることができました」
一方、富山の浜口炎ヘッドコーチは、「沖縄さんが第1クォーターから非常に素晴らしかったです。レギュラーシーズンに富山で戦った時より、アグレッシブにシュートを狙ってきている印象で、そこが修正できなかったです」と振り返る。
明日の第2戦、あらためて勝敗のキーとなるのがスミスだ。「クーリー1人に任せないで、スミス選手のところは全員でリバウンドを取りに行く。それが富山さんとやる時は鍵となります。後半は、彼のオフェンスリバウンドを0本に抑えられた。ディフェンスリバウンドを取り切れたのは大きかったと思います」と藤田ヘッドコーチが語れば、浜口ヘッドコーチも「ジョシュア(スミス)に対して、基本的にダブルチームで来ていないのに、マッチアップしたクーリー選手がファウルを2つしかしていない。そこを考えたいと思います」と語った。
この試合のスミスは21得点17リバウンドを挙げたが、スタッツ程のインパクトは与えられなかった。スミスとクーリー、リーグ屈指の巨漢センター対決こそが、このシリーズの肝となってくる。