写真=Getty Images

理想とする日本のスタイルを体現し、有終の美を飾る

グループリーグを1勝4敗の成績で終え、9位・10位決定戦に回った日本は、パラリンピック最後の試合でイランと対戦した。

序盤はシュートが決まらず、ミスからの失点で0-6とリードされる。しかし、香西宏昭と千脇貢のピック&ロールが決まったのをきっかけに怒涛の反撃。藤本怜央や香西のシュートが次々と決まり、13-0のランで逆転に成功する。

イランにタフショットを決められ追い上げられるも、ゴールに近い距離でプレーしフリースローを得るなど確実に得点を重ねる。

35-30とリードして迎えた後半、豊島英の絶妙なスクリーンでノーマークを作り出し藤本がゴールを決める。香西の連続得点や鳥海連志のバスケット・カウント、土子大輔のミドルシュートで点差を広げた。またディフェンスでも粘り強さを発揮し、バックコートバイオレーションやオフェンスファールを誘発。この第3クォーターを終えて48-38とリードを広げる。

迎えた最終クォーター、4本連続で速攻が決まり、日本の優位は決定的に。藤澤潔のノールックパスから村上直広が得点、鳥海のスティールから宮島徹也もシュート決めるなど終盤に良いプレーが多く見られた。ラストプレーも残り1秒のところで村上の速攻が決まり、日本代表が65-52で勝利した。

イランのフィールドゴールの確率を42%に抑えたディフェンス、そして速攻を何度も出せたトランジションが勝因に挙げられる。特筆すべきはゴールに近い位置にポジションを取る味方にしっかりとパスを回したことで、フリースローを26本も獲得できたことだ。精度の面で改善の余地はあるにせよ、着実に加点することで終始日本のペースで試合を展開できた。

目標に掲げた「6位以上」には手が届かなかったが、リオ最終戦を勝利したことで有終の美を飾った車椅子バスケットボール日本代表。この大会中にも日々修正と成長が見られ、及川晋平ヘッドコーチの理想とするバスケットを披露してくれた。この経験を糧に2020東京パラリンピックでの飛躍を期待したい。