ディフェンスで勝利を呼び込む「塁とロロが試合を変えた」
ウィザーズは敵地でトレイルブレイザーズと対戦。終盤にチーム一丸の勝負強さを発揮し、NBA屈指のクラッチプレーヤーであるデイミアン・リラードの爆発を許さずに勝ち切った。これでチームは4連勝、八村塁はこの試合でも先発出場で37分間プレー。17得点7リバウンド3スティールを記録している。
第1クォーターにブレイザーズが2桁のリードを奪ったものの勢いが続かず、その後はずっと点差が離れなかった試合が動いたのは、第4クォーター残り6分半、ブレイザーズがタイムアウトを取ってからだった。第3クォーターの最後、リラードがコート中央からの超ロングスリーポイントをねじ込んで92-89とリードしたブレイザーズだが、その後はウィザーズのディフェンスがリラードに自由を与えていなかった。
ブレイザーズはタイムアウトを取って立て直しを図ったのだが、ウィザーズは隙を見せない。リラードには身体能力で対抗できるラッセル・ウェストブルックが付き、スクリーンを使って抜け出しても八村がヘルプに飛び込んでタフショットを強いる。八村はスイッチを促されてトップの位置でリラードを守った時にもフィジカルな寄せでボールを離させ、24秒バイオレーションに繋げる。CJ・マッカラムが欠場しているブレイザーズは、リラードのところで優位を作れないと次の選択肢がなかなか見いだせなかった。
ウィザーズはウェストブルックがボールを運び、相手の対応次第でそのまま仕掛けるかブラッドリー・ビールがアタックに行く形。ターンオーバーもあったが周囲の戻りが早く、そこからの速攻を出させないためにブレイザーズに流れを明け渡さない。またビールのアタックを2人で止めに行く相手ディフェンスの隙を突いて八村がパスを呼び込み、ファウルを誘ってフリースローで得点を伸ばす抜け目のなさも光った。
残り3分半、リラードは外に引き出したビッグマンのロビン・ロペスを抜いてアタックに行こうとするが、立ちふさがる八村に加えてウェストブルックがプレッシャーを掛けるのを見てパスを選択。これが受け手と呼吸が合わずターンオーバーに。ここからウィザーズはセカンドチャンスからビールがゴール下をこじ開け、速攻からウェストブルックとのコンビネーションで八村のイージーダンク、ダービス・ベルターンズの3ポイントシュートと連続得点で110-101とリードを広げた。その後も試合をコントロールしたウィザーズが118-11で勝利している。
試合後、ヘッドコーチのスコット・ブルックスは「塁とロロが試合を変えた」と、名前を挙げて八村とロペスの働きを称賛した。「リーグ最高のシュート力を持ち、多彩なプレーができるガード(リラード)と何回もマッチアップしたが、よく抑えてくれた。スイッチして相手の1番から4番まで守らなきゃいけないのだから大変だが、塁には大きな信頼を寄せている」
これまでウィザーズが勝てなかったのはディフェンスが主たる要因だったが、指揮官は向上の手応えを得ている。「我々はシーズン途中に新型コロナウイルスの影響で中断せざるを得なかった。選手にやる気がなかったわけじゃなく、継続した試合と練習ができなかったのが理由だよ。コンディションが良くないとディフェンスを向上させるのは難しい。ようやく準備が整った。この10試合から12試合、ディフェンスは確実に良くなっている」
ようやく戦う体勢が整ったウィザーズが、ここからどこまで巻き返せるか。中1日を置いてレイカーズ、クリッパーズ、ナゲッツと西のトップチームと対戦するこの1週間が大きなヤマ場となりそうだ。