「僕が初めてNBAに来たのが、今のラメロの年齢だった」
ホーネッツのセンター、ビスマック・ビヨンボはNBAで10年目のキャリアを迎えた経験豊富なセンターだ。ただ、コンゴ民主共和国出身の彼はNBAにたどり着くまでにスペインリーグでプレーし、ナイキ・フープ・サミットでの活躍でドラフト指名を受けるに至っている。その彼からすると、ルーキーのラメロ・ボールは「かつての自分を見ている気持ちになる」存在だ。
『NBC SPORTS』の取材に応じたビヨンボは言う。「僕が初めてNBAに来たのが、今のラメロの年齢だった。アメリカの大学を経てドラフトされる選手と、海外リーグを経験する選手では、歩んできた道が全く異なる。彼は弟のようなものさ」
こうした親近感がきっかけになり、ビヨンボはラメロのメンターになった。ただ、控え目な彼は『鬼軍曹』でも『センセイ』でもない。自分の経験を押し付けるのではなく、いつも近くにいてアドバイスを求められたら教える『兄』だ。ヘッドコーチのジェームス・ボレゴは「ビスマックとラメロはチームミーティングの時にもいつも一緒にいてじゃれ合っているよ。あの関係性はラメロの成長にとって大きな助けになるだろう」と語っている。
ビヨンボは言う。「ここに来た時から何も強制はしていない。何か分からないことがある時、迷った時に、誰のところに行けばいいのか分かっていてもらえればいい。それでも若い選手が何かを学び、成長していく様子を間近で見られるのは楽しいよ」
頼りにされて、自分の知識を求められ、それがチームの勝利に繋がる。チームとしても理想的なプロセスだ。プレーの面のアドバイスはもちろん、コンディション管理のノウハウも若い選手にとっては貴重なもの。ビヨンボは普段から厳格な食事制限を自分に課している。それを若手に強制はしないが、求められればそのやり方と効果について丁寧に教える。
「若い選手はピザや揚げ物を食べるけど、大学では年間に50しかなかった試合数がNBAでは今シーズンだと72、普段のシーズンなら82に増える。同じ生活をしていたら対応できないのは当然だよね。自分の身体に良い燃料を入れることが大事なんだ。僕もNBAに来てすぐ、レイ・アレンに教えてもらった。その時は狂気じみたダイエットだと思ったけど、あれから10年でより多くの情報が得られるようになって、今の僕の食事はレイ・アレンの時代よりはるかに進んでいる」
ビヨンボには5人の兄弟がいて、全員がシャーロットで一緒に生活している。兄弟の面倒を見るのと同じ流れで、彼はチームの若手と接しているのだろう。22.7分の出場で6.2得点、6.0リバウンドという彼のスタッツはNBAで突出したものではない。それでもホーネッツにとって彼がいかに貴重な存在なのかは、ヘッドコーチから最年少のラメロまで、誰もが理解している。