文=鈴木健一郎 写真=黒川真衣

日本代表では太田と古川が奮闘するも単発に終わる

来日中のジョージ・ワシントン大と日本代表との3連戦もいよいよ3戦目。浜松アリーナで行われた試合、最初の2分間は得点が動かない、両チームともディフェンスから入る試合となった。

先に勢いに乗ったのはジョージ・ワシントン大。新チームの大黒柱となるタイラー・カバノフと渡邊雄太が重い展開を打ち破る得点を決めて流れを作る。日本も太田敦也が2つのシュートを沈めて応戦。しかし、日本は中・長距離のシュートの確率が上がらない。早めの選手交代で流れを引き寄せようとするも効果が出ず、その間にジョージ・ワシントン大の連続得点を許し、6-16と第1ピリオドから2桁のビハインドを背負った。

第2ピリオドに入り、田中大貴や比江島慎の3ポイントシュートが決まり始めるが、ジョージ・ワシントン大はそれ以上のペースで得点を重ねる。選手交代の効果が出ない日本代表とは対照的に、ジョージ・ワシントン大はカバノフと渡邊がベンチに下がった時間帯もペースを落とさなかったことが要因となり、22-37と差を広げられて前半が終了する。

第3ピリオドはジョージ・ワシントン大にとって完璧な10分間となった。高さでもスピードでも上回り、日本のオフェンスを沈黙させるとともに、3ポイントシュート攻勢で一気に突き放す。ディフェンスから立て直そうとする日本の思惑を外すように、渡邊雄太を皮切りにヤレン・シナとマット・ハートが3ポイントシュートを決めて点差を広げていく。

33-57と24点のビハインドで最終ピリオドに入った日本代表は、一矢報いようとペースを上げるが、ジョージ・ワシントン大は落ち着いて対応する。ローテーションで運動量を保ちつつゾーンディフェンスで日本の勢いをいなし、巧みなオフェンスで得点を重ねていく。

手応えを得た渡邊「こういう試合がシーズン中にもできれば」

第4ピリオド半ばで38-69と屈辱の30点差を付けられるも、ここから古川孝敏が1人で7-0のランを決めて、ようやく日本の時間帯を作る。それでもジョージ・ワシントン大は最後まで攻めも守りも手を緩めることなく、4つのピリオドすべてで日本を上回り、75-47の大勝で、この3連戦をすべて勝利で飾った。

試合後、比江島は試合をこう振り返る。「崩せるところは崩せたし、ノーマークも作れたが、最後のプレッシャーに負けてしまった。シュートを決めきる力がないと、今後も勝てないという課題が出ました」

「フィジカルも体力もそうですし、チームとしての準備が足りませんでした」と言うのは
太田だった。「ただ、負けて終わらせるのではなく、この反省を生かして次につなげることが大事になります」

比江島も同じ思いだ。「フィジカルや高さあるチームと対戦できるのは良い経験でしたが、良い経験で終わらせてはいけません。個人個人がやることをもっと考え直して取り組んでいかなければならないです」

新チームが始動したばかりのジョージ・ワシントン大にとっては収穫の大きい3連戦だった。渡邊はチームの手応えをこう語る「スタートの5人もベンチから出てくるみんなも、一人ひとりがしっかり役割を発揮できていたので、こういう試合がシーズン中にもできれば本当に良いチームになっていく」

逆に、日本代表にとっては、相手が実力のあるチームとは言え、大学生相手の3連敗は厳しい現実を突き付けられる結果となった。個人としてもチームとしても、完成度の高さを求めるのは難しい時期だが、それでも内容にしても乏しいのはいただけない。この結果に向き合い、悔しさを成長につなげていくことが望まれる。