「互いに良いフィーリングを持ってプレーできている」
現地1月20日のキャバリアーズ戦でカイリー・アービングが戦線復帰。ネッツは初めて、ケビン・デュラントとジェームズ・ハーデン、そしてアービングの『ビッグ3』が揃っての試合を迎えた。
3人がスターティングラインナップに名を連ねた試合、試合開始当初こそ快調に得点は伸びたが、第1クォーター後半から第2クォーター頭にかけて約7分に渡り無得点が続く。ここからキャブズがリードして試合は進んだ。
タレントの質で言えば、再建中のキャブズはネッツにかなわない。ただ、ハーデンのトレードに巻き込まれた形でキャブズにやって来たジャレット・アレンとトーリアン・プリンスが古巣相手に恩返しの好パフォーマンスを見せてチームに勢いを与え、ラリー・ナンスJr.やコリン・セクストンも気合いの入ったプレーを見せる。レブロン・ジェームズの退団以降、これだけの注目を集める試合は滅多にない。ハードワークとボールへの執着心でタレントの差を埋めたキャブズが健闘を見せた。
それでもクラッチタイムにネッツが猛追。キャブズの必死のディフェンスをデュラントが、ハーデンが、カイリーが個人技でこじ開け、113-113で延長戦へ。ただ、キャブズにも個の力がないわけではなかった。この日の主役はネッツの『ビッグ3』ではなくセクストンだ。第4クォーター終盤から勢いはネッツにあったが、セクストンはオーバータイムに7得点2アシストを固め打ち。残り1.2秒でカイリーのチェックをモノともせず同点の3ポイントシュートをねじ込み、試合はダブルオーバータイムへ。
こうなるとネッツのタレント力が逆にマイナスとなる。試合を通じてハーデンが51分、デュラントが50分、カイリーとジェフ・グリーン、ジョー・ハリスのプレータイムも45分を超えて、主力が揃ってガス欠に。また135得点を奪いながらベンチメンバーの得点はわずか10で、大量リードを奪う展開を除けば主力をプレーさせ続けるしかない事情もあった。
その一方で、カイリーがキャブズを去った1年後に加入した22歳のセクストンの勢いは止まらない。プレータイム38分と最後まで力を残していた彼は、ダブルオーバータイムにも13得点1アシストと大暴れ。キャブズの偉大なポイントガードの先輩だったカイリーに1on1を仕掛けては、次々とオフェンスを成功させて42得点を記録。キャブズが147-135で注目の一戦を制した。
ネッツを率いるスティーブ・ナッシュは「最初のオーバータイムの最後を守り切れず、3ポイントシュートで同点とされたのが痛かった。あの一発でこちらの運動量が落ちてしまった」と試合を振り返る。ただ、『ビッグ3』が揃った最初の試合として手応えはあった。「初めて一緒にプレーするのだからプレーの判断で迷う部分はある。ただ、互いに良いフィーリングを持ってプレーできているし、これからシーズンを通して向上していけばいい」
デュラントが38得点、アービングが37得点、ハーデンは21得点10リバウンド12アシストのトリプル・ダブルを記録。この3人が即興であれ次々に仕掛ける攻めは大きな武器だが、シューターのハリスにパスが渡らず彼の得点が6に留まるなど、他の選手へのしわ寄せは決して小さくない。またディフェンスも大きな課題で、いくらオフェンスに魅力的なタレントを擁していても、ハードワークなくして勝利はない。ここから新生ネッツのスタイルとカルチャーをどう築いていくか、指揮官ナッシュの手腕に注目が集まる。