地元マブスへの移籍がキャリアの転機に
マーベリックスとPJ・ワシントンは4年9000万ドル(約140億円)の契約延長に合意した。2019年のNBAドラフト1巡目12位指名でホーネッツに加入したワシントンは、今のNBAのスタイルに合ったパワフルかつスキルもあるストレッチ・フォーとして活躍。5年目の2023-24シーズン途中にマブスにトレードされた。
勝てないホーネッツではほとんど注目されなかったが、マブスに来るとルカ・ドンチッチが作り出すチャンスを決め、またドンチッチにスペースを与え、彼の分まで走る貴重な戦力として評価を高めた。トレードされた2023-24シーズン、彼の獲得を含むチーム再編が特効薬として機能し、チームはNBAファイナルに進出。ワシントンも自身初のプレーオフ出場でありながら勝負強さを発揮し、注目される存在となった。
ドンチッチを放出した昨シーズンを経て、マブスはロスター再編の道を選ばなかった。今オフにはカイリー・アービング、ダニエル・ギャフォードに続き、このワシントンが3人目の契約延長。ギャフォードとワシントンは契約残り1年のままにしておけばトレードの駒として使いやすかったが、長期的なプランに加えた。
ワシントンとすれば、マブスは自身のキャリアを高めてくれたチームであり、ダラス近郊のフリスコ出身の彼からすれば地元のチームでもあり、完全保証の4年契約は願ってもないオファーだった。
アンソニー・デイビスを軸に、ルーキーのクーパー・フラッグを育てながら、デレック・ライブリー二世やギャフォード、ワシントンといったフロントコートの層の厚さを生かし、長期離脱中のカイリーの復帰を待つことになる。
フロントコートに偏ったロスターにおいて、ワシントンのオールラウンドな能力は価値が増す。ポストムーブで相手を押し込むことも、ウイングとして機動力と3ポイントシュートを生かすこともできる。フラッグとプレーエリアが重なるが、それも経験あるオールラウンダーとしてフラッグの良いお手本になることができる。
もっとも、ドンチッチ放出でファンとクラブの関係が破綻しており、フラッグが加入しても戦力的には『ドンチッチ時代』より劣ると見られている。なおかつワシントンを含む既存戦力との契約延長でサラリーは高く、少なくともプレーオフ進出を果たせなければ批判が再び沸き起こるだろう。27歳になったワシントンも、これからはチームリーダーの一人として結果を求められることになる。