
若きスペイン、最大16点差をひっくり返す奮闘も及ばず
グループリーグ最終戦のギリシャ戦を前に、スペインはヤニス・アデトクンボの欠場を願ったことだろう。アデトクンボは膝の状態が万全ではないとされ、それまでの4試合のうち2試合を欠場する『負荷管理』を行っていた。しかしギリシャは、すでに決勝トーナメント進出を決めていたものの、グループ1位を目指してアデトクンボを出場させ、ミッションを成功させた。
第1クォーターでギリシャは31-20と2桁のリードを奪う。このクォーターでのアデトクンボの得点は2点に留まったが、スペインのダブルチームに落ち着いて対処して味方のチャンスを演出。ゾーンディフェンスもアウトサイドのシュートで攻略し、第1クォーターだけで8本の3ポイントシュートを決めた。
この試合でのアデトクンボは25得点14リバウンド9アシストを記録。コンディション不良の憶測を振り払う完璧なパフォーマンスであり、アデトクンボが個人技に頼るのではなく、起点となって味方を生かすことで、自らもリズムに乗る好循環が生まれた。
今大会のスペインは世代交代が上手くいかず、苦戦し続けてきた。しかし、最終戦の後半で素晴らしいパフォーマンスを見せる。最大16点のビハインドを背負い、敗退の危機に立たされながらも、最後まで屈することなくギリシャに挑み続けた。
絶好調のアデトクンボを擁するギリシャに対し、第4クォーターに2度に渡り逆転に成功する。若いチームだけに勢いに乗った時の反撃はすさまじく、ギリシャは最後まで必死に戦わなければならなかったのだが、要所で若さゆえのミスも出て、最終スコア90-86でギリシャが勝利した。
激闘を制したギリシャのヘッドコーチ、バシリス・スパヌリスは「特に前半はギリシャ代表のこれまででも最高のプレーができた。ボールムーブ、シュート、ディフェンス、リバウンド。そのすべてが素晴らしかった」と選手たちの奮闘を称える。
「後半はかなりペースが落ちたが、スペインに逆転された場面でも自分たちのプレーに集中し、勝つことができた。この試合から自信を得て、それは決勝トーナメントで役に立つだろう。スペインは常に強いチームであり、我々は勝ってグループ1位になる必要があった。大きな意義のある1勝だ」
ギリシャはグループ2位だとベスト16でルカ・ドンチッチを擁するスロベニアと当たり、他にもドイツ、セルビア、フランスのいる山に入るところだった。グループ1位になったことでベスト16の対戦相手はイスラエルとなり、こちらの山に優勝候補と見なされるチームはトルコしかいない。
油断は禁物だが、アデトクンボが万全のコンディションのまま決勝まで勝ち上がるためにも、強豪揃いの山を回避することは重要だった。アデトクンボに無理をさせず、粘りに粘るスペインを振り切ってグループ1位になったことで、ギリシャには優勝の可能性が見えてきた。