
「代表チームは次の世代に託すよ」
モンテネグロはユーロバスケット開幕戦でドイツに76-106と大敗し、リトアニアとフィンランドにも敗れて3連敗。グループBの実質的な4位争いとなった第4戦でスウェーデンに勝利したものの、最終戦にここまで勝ちのなかったイギリスに足元をすくわれ、グループリーグ敗退となった。
モンテネグロのヘッドコーチ、ボスコ・ラドビッチは「初勝利を挙げたイギリスにおめでとうと言いたい。試合の最初から最後までアグレッシブで、勝利に値する戦いぶりだった」と敗戦を受け入れた。
ニコラ・ブーチェビッチは20.8得点、11.6リバウンド、4.4アシストと、スタッツではエースらしい数字を残したが、チームに勝利をもたらすという肝心の仕事は果たせなかった。「僕らにとっては大いなる失望だ。攻守ともミスだらけで、ターンオーバーは多く、良いシュート選択ができない場面もたくさんあった。ディフェンスに集中して立て直すべきなのに、それもできなかった」とブーチェビッチは語る。
来月35歳になるNBAキャリア14年のベテランは、今大会を最後に代表チームを去る。「チームメート、コーチ、連盟の人たち、そして何よりファンのみんなに感謝したい。代表でもうプレーできないと思うとさみしい」
「みんなも知る通り、モンテネグロは小さな国で、多くの選手がいるわけじゃない。ユーロバスケットのような大きな大会に出場すること自体が大きな成功なんだ。僕たちは常に、国と国民を代表するためにベストを尽くしてきた。良い結果が出たこともあるし、そうでないこともあった。結果にかかわらず、代表でプレーすることは誇りだった。代表でのチームメートは親しい友人となり、その絆は一生続くだろう。コーチとも良い関係を築くことができた。もっと違う形で終わりたかったけど、良いことも悪いことも起きるのがスポーツの現実だ」
そして、ブーチェビッチの思いは15年前へと飛んだ。「初めて代表合宿に参加した時のことを思い出すよ。あれは2010年、ユーロバスケット予選だった。大学に戻らなきゃいけなかったから試合ではプレーしていないけど、合宿に参加して経験豊富なベテランから様々なことを学んだ。その翌年のユーロバスケットが僕にとっての代表での挑戦のスタートとなった」
モンテネグロが独立したのは2006年で、代表チームがFIBAに加盟したのもこの年のこと。モンテネグロ代表にとって初めて参加する大きな大会が2011年のユーロバスケットであり、当時20歳だったブーチェビッチはこの大会で代表デビューを飾り、それと並行してドラフト指名を受けてNBAでデビューし、国を代表するバスケ選手となった。
彼のキャリアはまだ続くが、モンテネグロ代表でのプレーはこれで終わる。「こんな形で終わりたくはなかった。でも、仕方のないことだ」とブーチェビッチは繰り返し、「代表チームは次の世代に託すよ」という言葉で会見を締めた。