「やるべきことをやれたんじゃないか」
宇都宮ブレックスは千葉ジェッツとのライバル対決を1勝1敗の痛み分けで終えた。
第1戦はライアン・ロシターが孤軍奮闘するも、攻守ともに千葉に上回られ78-87で敗れた。それでも、第2戦は序盤からエナジー全開のプレーで主導権を握り、第3クォーター終了時点で20点差をつける完勝を収めた。
比江島慎は「出だしにエナジーを持ってやろう、もっと競争心を持てと言われていたので、そこはスタメンの役目としては果たせた」と快勝に終わった試合を振り返った。
シャノン・ショーターのマークについた比江島は、開始わずか51秒で一つ目のファウルを犯した。それでも、そこでファウルを恐れずにディフェンスの強度を保ったことで、ショーターからオフェンスファウルを誘発してコート外へと追いやった。
ディフェンスに定評のある遠藤祐亮、鵤誠司とともに先発を任されたこともあり、誰がマークにつくかは決まっていなかったそうだ。ショーターが比江島のマークについた流れで比江島がマークを担当することになったが、前日に22得点を許したショーターを抑えることは勝利の必須条件だった。
膝を負傷し、前節の信州ブレイブウォリアーズ戦を欠場した比江島にとって、復帰戦の相手が千葉というのは厳しい状況だ。比江島も「少し怖かった」と語ったが、インテンシティを落とすことなく戦い続けた。プレータイムは13分50秒と今シーズン最短となったが、それはアグレッシブな姿勢を貫き、ファウルアウトとなったからだ。
もちろん、ファウルが多いことは手放しで喜ぶことではなく、審判の笛にアジャストすることも必要だ。しかし、この試合に関してはそれだけ激しくプレーする必要があり、今回のファウルアウトはそこまでネガティブではない。「ファウルをしてしまいチームに迷惑はかけたんですけど、やるべきことをやれたんじゃないか」という比江島の言葉からも、そうした思いが伝わる。
ファウルトラブルを避けつつ、ディフェンスの強度を保つ。言うは易しだが、この塩梅は実に難しい。さらに言えば、時にファウルトラブルよりもディフェンスの強度が下がったほうが悪い場合もある。この試合がまさにその状況に当てはまった。千葉の大野篤史ヘッドコーチは言う。「彼らはファウルを27個使って、僕たちは15個。負けているチームのほうがファウルが少ないのはあり得ない」
もちろん、比江島にはオフェンス面での活躍も期待され、本人も「例年よりも点を取る意識はある」と語っている。それでも、守備を重要視する宇都宮ではディフェンスで求められるレベルがひときわ高く、2ウェイプレーヤーとして進化を続ける比江島にはやはり多くの期待がかかる。