文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

ファジーカスが25得点、八村が24得点と大活躍

ワールドカップアジア1次予選の第5戦、日本代表はオーストラリアを千葉ポートアリーナに迎えた。ここまで0勝4敗の日本に対し、オーストラリアは4連勝で1次予選突破を決めており、さらにはNBA選手を2名擁する布陣。それでも、日本国籍を取得したニック・ファジーカス、さらにはアメリカのNCAAで活躍する八村塁という新戦力が躍動した日本が79-78で競り勝った。

高さと強さで勝るオーストラリアに対し、日本はゾーンディフェンスを多用してインサイドの守りを固める。オーストラリアはここを攻めずに外からの攻撃を試みるがシュートが決まらない。日本は立ち上がりから八村が爆発。相手の激しいディフェンスをモノともせずに個人技で得点を重ねる。続いてはファジーカスの出番。連続3ポイントシュートで勢いに乗ると、こちらも柔らかいシュートスキルをフル活用して得点を重ね、前半を終えて42-33とリードを奪った。

後半最初のプレーもオフェンスリバウンドを奪った八村が、NBA2選手を含む3人に囲まれながらもゴール下のシュートをねじ込む力強さを発揮。ようやくアウトサイドのシュートが当たり始めたオーストラリアに一度は追い付かれ、逆転されるも、ここから日本はこれまでにない粘りを見せた。

馬場雄大が力強い攻守の切り替えから相手のファウルを誘い、これがアンスポーツマンライクファウルをコールされてオーストラリアの勢いを断ち切る。さらに『日本のエース』比江島慎、長年に渡り日本のインサイドを支えてきた竹内譲次も奮闘して攻守に勢いを与えた。

第4クォーターに入ってゾーンディフェンスを攻略したオーストラリアが再び勢いに乗るも、フリオ・ラマスヘッドコーチが巧みな選手起用でプレータイムを分散し、日本は最後まで運動量が落ちない。

勝因はディフェンス、特にインサイドの守備

75-74で迎えた残り30秒、ディフェンスリバウンドを拾った篠山竜青がそのままワンマン速攻を決めて77-74と突き放す。続く守備でもしぶとく耐え、リバウンドを拾った比江島が相手にファウルされる前にタッチダウンパスを前線に送り、これに反応した八村がダンクを決めて勝負アリ。最終スコア79-78で歴史的勝利を挙げた。

最大の勝因はディフェンス、特にインサイドの守備だ。オーストラリアの2点シュートは51本中19本成功(37.3%)と、40分間を通じてゾーンを崩されたいくつかのシーンを除けば簡単な得点を与えなかった。オフェンスリバウンドでは10-22、セカンドチャンスポイントからの得点で9-18と圧倒されても、集中を切らさず実直にディフェンスし続けたことが功を奏した。

オフェンスではファジーカスが25得点、八村が24得点と結果を出した。『希望』が見えた日本は、7月2日に1次予選の最終戦、チャイニーズ・タイペイ戦を敵地で戦う。