[頂点を目指して]千葉ジェッツの富樫勇樹「リバウンド取って走れれば勝てます」

2018/05/10
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一、野口岳彦
5月7日、今週末から始まるBリーグの優勝決定戦であるチャンピオンシップの記者会見が行われた。負ければ終わりの短期決戦、タイトルを懸けた戦いを前に、出場チームを代表して登場した選手にインタビューを実施。また「ウチはここだけは負けない」のは何であるかを各選手に書いてもらった。千葉ジェッツの富樫勇樹が挙げたのは『スピード』。大野篤史ヘッドコーチが就任以来2シーズン取り組んできた「ハイエナジーなディフェンスから走るバスケ」のシンボルとして、富樫はチャンピオンシップでも電光石火のスピードでファンを沸かせてくれるに違いない。

「多少のスペースがあれば突っ込んで行っちゃう」

千葉の天皇杯連覇、東地区優勝の原動力となったのが、堅守をベースにしたトランジションバスケット。そのスピーディーなオフェンスはリーグ屈指の完成度と華やかさを誇る。スタイルが確立されているだけに、千葉と対戦する相手は必ず対策を講じるのだが、それを上回ってきたからレギュラーシーズン46勝14敗という好成績がある。

相手に警戒される中でトランジションオフェンスを繰り出す秘訣を、富樫は「特にないです」と言う。「あえて言えば、他の選手よりはトランジションのまま多少のスペースがあれば突っ込んで行っちゃう部分はあるかもしれません」

そこは富樫自身の工夫というよりはチーム作りの成果だそうだ。「人数が相手よりも多いからです。相手のガード陣は戻って来ても、ビッグマンが戻っていない時間帯で、こちらのビッグマンはしっかり走って来ているというところ。3対4であったり2対3の状態がトランジションで作れているからです」

走れるセンターとしてはリーグ屈指のギャビン・エドワーズ、ハードワークの権化とも言うべきアキ・チェンバースの加入はそれほどまでに大きかった。ペイントアタックを武器とする彼らが主力となった分、昨シーズンは1591本中567本成功と試投数も成功数もリーグトップだった3ポイントシュートが相当に減り、1325本中455本成功といずれもリーグ5位に落ちた。それでもトランジションでリングにアタックし、確率の高いレイアップシュートを決めるというスタイルで1試合平均得点は82.3から84.5と向上している。

「こんなにうまくいろいろなバスケができてたっけ?」

オフェンスにおける3ポイントシュートの比率が下がった今シーズンの千葉。だが、3ポイントシュートで富樫が大きく成長したのはあまり知られていない。3ポイントシュート成功本数は昨シーズンの1.7から2.3へ、成功率は35.4%から41.9%へとアップした。「自分でもびっくりしています。劇的に良くなったので」と本人が言うぐらいだ。

今シーズンのベスト3ポイントシュート成功率賞に輝いた喜多川修平(栃木ブレックス)の成功率は41.7%。富樫はこれを上回ったが、対象となる『51試合出場』をクリアできなかった。「あと1試合出ていれば1位でした。やばくないですか?(笑)」と、富樫は自分の残したスタッツに素直に興奮するが、それには理由がある。「これまで常に確率が良い選手ではなかったんです。クォーターエンドからのタフショットを打つ役割もあって、ハーフコートから投げる時もありますし。個人タイトルが欲しかったというより、びっくりしています」

3ポイントシュートはスタッツが確たる根拠となるものだが、それ以外にも富樫はBリーグになってからのこの2シーズンで自身のすさまじい成長を実感している。「この2シーズンにかけての成長は、自分から見ても感じます。『あれ、こんなにうまくいろいろなバスケができてたっけ?』と思うぐらい、うまく行くというか、余裕を持ってできています」

基本的には自信家の富樫だが、これだけ強気に語るのも珍しい。ただ、それはレギュラーシーズンを通して確固たる手応えがあるからこそだろう。「どんな場面においても、以前より余裕をもってプレーできていると感じます。カッとなってしまうこともあるんですが、コーチも言うんですけど、そういう感情もバスケの一部なので気にしていません。今シーズンはプレータイムが減っているにもかかわらず得点数も確率も良くなっていて、自分でもここまで確率が良いとは思っていませんでした」

「ディフェンスして走る、当たり前のことを徹底」

クォーターファイナルでの相手は川崎ブレイブサンダース。優勝候補同士の激突となるが、富樫はいつもと変わらず、相手ではなく自分たちにフォーカスする。「順位に関係なく勝ち上がっていけば当たるだろうと感じていました。ただ、自分たちでコントロールできないところはあまり意識せず、目の前の試合を戦うだけだと感じています」

磨き上げてきた千葉のバスケットには揺るぎない自信がある。天皇杯優勝、激戦の東地区優勝と成功体験を得てもいる。特に地区優勝は大きいと富樫は言う。「60試合を戦っての地区優勝はチームの一つの目標でしたし、それを達成できたことに自信を持っています。今までやってきたことをチャンピオンシップでも全員でできたらと思います」

勝負のカギに挙げるのはリバウンドだ。「やっぱりディフェンスは大崩れすることがないので、リバウンドさえ取れればしっかり走れると思うので。そこが一番かなとは思います」

富樫は、自分たちのバスケットの魅力にあらためて触れた。「バスケットの魅力はトランジションの部分だと思います。そこは千葉が一番の持ち味としているところなので、今までどおりですけどしっかり走って。ディフェンスして走る、当たり前のことを徹底します。それが見ている人に面白いと思ってもらえるバスケットだと信じてやっているので、今までどおりやりたいです」

電光石火のトランジションオフェンスが出れば千葉の勝利は間違いない。それを引っ張る富樫のすべてのプレーに注目だ。

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