[頂点を目指して]シーホース三河の比江島慎「早い展開に持ち込む時は僕の出番」

2018/05/08
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一、B.LEAGUE
5月7日、今週末から始まるBリーグの優勝決定戦であるチャンピオンシップの記者会見が行われた。負ければ終わりの短期決戦、タイトルを懸けた戦いを前に、出場チームを代表して登場した選手にインタビューを実施。また「ウチはここだけは負けない」のは何であるかを各選手に書いてもらった。シーホース三河の、そして日本代表のエースである比江島慎は『オフェンス』にどんな形容詞をつけるか少々考え込み、『的が絞れないオフェンス』を選んだ。

三河の『ビッグ3』の一角、比江島の自信

負ければ終わりのチャンピオンシップでは、どうしても守備が強調されたロースコアの展開になるもの。そんな戦いを勝ち抜くためにはディフェンスとボールへの執着心がクローズアップされがちだが、シーホース三河の比江島慎は迷うことなく『オフェンス』を推した。

相当な自信がなければ、こうは書けないはずだが、「特に今シーズンは得点力が増えました。もちろんディフェンスも重要ですが、ウチはオフェンスがディフェンスよりスタイルとして出てくると思います」と、比江島は攻撃への自信を語る。

チャンピオンシップ記者会見でBリーグアナリストの佐々木クリスは桜木ジェイアールと金丸晃輔、比江島を『ビッグ3』と表現した。リーグでもトップクラスのタレントが長く一緒にプレーしている。ここが三河の大きな強みだ。

「ジェイアールや金丸さん、僕だったり、攻撃の起点が豊富でどこからでも点が取れます。ハーフコートオフェンスの中心はやっぱりジェイアールで、そこにボールを入れて相手がダブルチームに来れば、僕らがスペースを取って外から打てます。そればかりだと重くなってしまうので、ピック&ロールだったり良いリバウンドを取ってプッシュして早い展開に持ち込む時は僕の出番だと思っています。金丸さんは自分で崩すよりも、セットプレーの動きの中でドライブだったりシュートを打つのを得意としている。控えのメンバーが入っても戦略は変わらず点が取れるチームですが、金丸さんが20点から25点、ジェイアールが20点近く取って、僕が10点から15点を取っていければ、チームとして良い状態にあるかなって思います」

「自分で行くことが自信につながっています」

三河の得点力アップの要因は、絶対的な武器であるハーフコートオフェンスの強みを残したまま、アーリーオフェンスの質を高め、繰り出す頻度を増やしたところにある。ピック&ロールや早い展開となれば、三河の『ビッグ3』の中でも自分の出番だと比江島は言い切る。「チームとしても言われていますし、それが自分の持ち味を出すところだと思います。クリエイトしてアシストする部分は意識しています」

Bリーグが始まって2年、比江島は自身の成長をこう語る。「うまくなったかどうかは分からないですけど、メンタルは強くなったというか、自信を持ってプレーできています。それで思い切りの良いシュートやドライブができる分、良い結果になっていると思います」

『自信』は簡単には手に入らない。「自信を持ってプレーしろ!」といくら周囲が言っても意味はなく、厳しい戦いの中に身を置き、成功体験を積み重ねることで得られるものだ。ビッグマウスとは対極のタイプの比江島だが、彼の中で自信は揺るぎないものになっている。

確固たる自信を得られたのは日本代表での活躍によるものだろうか? そう質問すると比江島は「全然勝てていないので、自信をつけたという言い方はどうかと思うんですけど……」と苦笑しつつ、こう続けた。「まあ代表ですかね。自分のドライブが通用するという自信になっています。それが日本代表であってもチームを勝たせるために自分がやらなきゃいけない。そこは賭けですが、自分で行くことが自信につながっています」

「比江島タイムと言われる時間帯で活躍したい」

クラッチタイムに強い『比江島タイム』について、今の彼はどう思っているのだろうか。「いやあ、それは」とまたも苦笑い。「まだまだ満足するところまで行っていませんけど、コーチがタイムアウトの後にそういうフォーメーションをやってくれますし、そこはコーチの信頼を勝ち取るためにもいろいろな経験を積んできました」

「もちろん失敗もしてきましたし、昨シーズンのチャンピオンシップでは自分のせいで負けたという思いがあります。その悔しい思いを生かしながら強いメンタリティを持ってやれたので、そこは昨シーズンよりも『比江島タイム』と言われる時間帯で活躍したいです」

昨シーズンのチャンピオンシップ・セミファイナルでは『比江島タイム』であるべき時間帯のパスミスで敗れた。その相手だった栃木ブレックスと今週末のクォーターファイナルで対戦する。「去年、あと一歩のところで勝ちを逃したことは忘れていません。チャンピオンシップでまた対戦したいと思っていたので、実現してうれしいです」

全体勝率トップでチャンピオンシップに臨むが、『本命』という意識は比江島にはない。「全体1位を取ることを目標にやってきて、達成できてホームコートアドバンテージが取れたことには満足していますが、チャンピオンシップになったらレギュラーシーズンの順位は関係なくて、8チームどこが勝ってもおかしくないです」

ここから先は、結果こそすべて。「昨シーズンは達成感なんか全然ありませんでした。ベスト4になりましたけど、全然物足りなさを感じましたし、優勝以外はいらないです。だからチャレンジャーとしての気持ちを忘れずに戦います」と比江島は言う。過信はしないが、自信はある。そんな比江島の活躍は、三河がBリーグ制覇を実現する上で不可欠な要素となる。

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