[頂点を目指して]栃木ブレックスの田臥勇太「苦しんだからこそ今がある」

2018/05/07
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一、野口岳彦
5月7日、今週末から始まるBリーグの優勝決定戦、チャンピオンシップの記者会見が行われた。負ければ終わりの短期決戦、タイトルを懸けた決戦を前に、出場チームを代表して登場した選手にインタビューを実施。また「ウチはここだけは負けない」のはどこかを書いてもらった。Bリーグ初年度王者、栃木ブレックスの田臥勇太は迷うことなく『チーム力』と大書した。

山あり谷ありも「いろんな勉強になるきっかけ」

昨シーズン王者の栃木ブレックスは、今シーズンはワイルドカード下位、つまり第8シードでチャンピオンシップに参戦する。昨シーズンに優勝を決めた後、チームは陣容を刷新し、ヘッドコーチも交代となった。必要な新陳代謝ではあったにせよ、新チームは立ち上がりでつまずき、前半戦は大苦戦を強いられながら、後半戦に立て直してチャンピオンシップ出場権を確保した。

キャプテンの田臥勇太は、山あり谷ありだった道のりを「当然、昨シーズンと比べると大変なところはありましたけど、それは僕にとって成長できる良い機会だなと。個人としてもそうだし、チームとしてもいろんな勉強になるきっかけだと思っていました」と振り返る。

苦しい出来事をプラスに受け止めるところに、田臥の、そして栃木の強さがある。誰だって勝ちたいし、NBAではスター選手がこぞって『勝てる環境』を求めて移籍している現状があるが、そんなトレンドは彼らには無縁だ。

「何とか戦い続けた」と言う苦しいシーズンを振り返り、田臥は「それがあったからこそ今がある」と笑みをこぼした。「もちろん、ずっと良い状態で勝ち続けるのがベストですけど、どのシーズンだってメンバーも代わればコーチも代わり、いろんなことがあるわけで。それで経験できることがまた自分の引き出しを増やせることだと感じていたので」

「いろいろあった分、より多く経験できた」

『ウチはここだけは負けない』とのお題に対し、田臥は迷わず『チーム力』と書いた。ゼロからのスタートを強いられた栃木だが、60試合のレギュラーシーズンを戦い抜いた今、どのライバルよりも『チーム力』で上回っていると田臥は断言する。

「いろんな積み重ねがあって、試合はどれも大事ですけど、勝った試合よりも負けた試合のほうが得られるものは大きいと思っています。どの試合がターニングポイントだったかは特になくて、ケガ人が戻って来たりコーチが代わったり、それはそれで成長できるきっかけとして、いろんな出来事からずっと積み上げてきました」

昨シーズンは順風満帆で勝ち上がってきた。今シーズンは逆風の中を一歩ずつ進んできた。周囲から見れば、今回のチャンピオンシップでは苦戦を強いられるように思えるが、苦しんだからこそ田臥の自信は昨シーズン以上に揺るぎないものになっている。

「いろいろあった分、より多く経験できたのが今のチームです。自分たちはシーズンを通してどう成長していけるかをテーマにやってきました。ブレックスというチームがどういうチームなのか、それをヘッドコーチが、チーム全員が、理解しようと体現しようとやり続けてきました」

「最高の試合はファイナル、そこで優勝できたと言いたい」

百戦錬磨の経験を持つ田臥は、チャンピオンシップの戦い方を熟知している。「負けたら終わりなので、結果にこだわる激しさを出さないと勝てません」と、栃木らしくハードに戦うことを前提とした上で、チャンピオンシップの舞台でチームにさらなる成長を求めてもいる。

「とにかくここからは負けたら終わり、勝てば先があって、最後は優勝とシンプルです。優勝すれば連覇ですが、そこにこだわりすぎず。チーム力にはまだまだの部分もあるので、チャンピオンシップでも成長させていきたい。シーズンを振り返って最高の試合はファイナルだった、そこで優勝できたと言いたいです」

チームのため、勝利のため、決して緩みを見せない田臥だが、その原動力はどこにあるのだろうか。「バスケットが好きだという気持ちを、誰にも負けずにやるというところだと思います。あとは感謝の気持ちを忘れずにやっていきたい」

荒波に揉まれた栃木だが、田臥というリーダーに引っ張られて、困難をくぐり抜けて1年でタフなチームになった。田臥が自信を持つ『チーム力』を武器に、リーグ連覇を狙う。

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