「ウチの強みはリングにアタックすること」
京都ハンナリーズのバスケットスタイルは少々独特だ。多くのチームが日本人の特性を生かすべく、また現在の世界のトレンドでもあるスピーディなバスケット、外角シュートを多用するスタイルを掲げているが、京都のスタイルは『Attack the Basket』。まずはリングにアタックすることに重きを置く。
「僕は京都で4シーズン目になりますが、もともとボールをペイントタッチさせる、一度ペイントエリアでボールを落ち着かせてから展開するバスケットをずっとやってきました」と内海慎吾がこのスタイルを説明する。
「今シーズン、ウチはフリースローの獲得本数がリーグトップでした。それはジョシュア・スミス、ジュリアン・マブンガ、また日本人でも外国籍選手に当たり負けしない永吉(佑也)、そしてガードの伊藤(達哉)、このあたりがゴールに積極的にアタックすることでフリースローをどのチームよりも多く獲得してきました。ウチの強みはリングにアタックし、そしてフリースローを獲得することなんです」
フリースローは他の得点に比べ派手さを書くが、得点の期待値は最も高い。またファウルがかさむことで相手を不利な状況に追いやることもできる。ボールをシェアしてアタックし、フリースローを得る。これが京都のバスケットであり、それが機能したからチャンピオンシップ進出を果たすことができた。被ファウル数は2位の千葉ジェッツに100以上の差を付ける1266。昨シーズンの1139からも大幅に増えている。
「今シーズンも浜口ヘッドコーチの下で同じバスケットボールを続け、それで強力なインサイド陣が来てくれた結果、レベルアップしてプレーオフ行きの切符を勝ち取れたと思います」と、内海はチームがこのスタイルを貫いて結果を出したことに胸を張った。
「それは僕にとって優勝と同じぐらい価値がある」
それでも京都がクォーターファイナルで対戦するアルバルク東京は分の悪い相手だ。今シーズン4度の対戦では全敗。レギュラーシーズン最終節の先週末の対戦にも敗れた。その前の試合でインサイドの大黒柱であるジョシュア・スミスが5試合の出場停止処分を受け、このクォーターファイナルにも出られない。
ただ、浜口ヘッドコーチが以前に「ウチはスーパースターにボールを預けてどうにかしてもらうチームではない」と話していたように、内海も決して致命的なダメージではないと言う。「レギュラーシーズンも、ジョシュアではなく他の選手が出場できないこともありましたが、それぞれの選手が少しずつチームに貢献することで補って戦いました。それをまたチャンピオンシップで同じことをするだけです」
スミスはプレー中のフラストレーションをボールにぶつけて大きな代償を支払うことになった。ただ、内海は彼の過ちを責めようとはせず、むしろ戦う意欲へと変えている。「ジョシュアが出場できませんが、勝ち上がれば彼も戻ってきます。ケガをしている他の選手も復帰できると思います。全員がコートに立てるところまで、今いる選手で戦う。それは僕にとって優勝と同じぐらい価値があることなので、そこまで勝ち上がっていきたい」
「互角の勝負をした上で勝ちにいけると信じています」
レギュラーシーズンで勝てていない相手、しかも会場はA東京のホーム、アリーナ立川立飛。不利な条件が揃っていても内海には関係ない。全力で戦い、勝ちに行くだけだ。
まず、ホームコートアドバンテージがないことは全く気にしていない。「ハンナリーズのブースターの皆さんは、ホームでもちろん声援で後押ししてくれるんですけど、アウェーでもいつも相手の会場を乗っ取るくらい大きな声を出して、ともに戦ってくれました。必ずこのチャンピオンシップでも、A東京のホームコートでも青いTシャツで埋め尽くしてくれると信じています」
そして対戦成績も「チャンピオンシップになった時点でレギュラーシーズンの成績は一度リセットです」とバッサリ。「レギュラーシーズンは0勝4敗でしたけど、そこの結果は気にせずにチャンピオンシップに集中して戦えます。アップセットを狙うというわけではなく、互角の勝負をした上で勝ちにいけると信じています」
京都にとっては初のチャンピオンシップ進出だが、キャプテンの内海に臆するところは全くない。自分たちのスタイルである『Attack the Basket』に自信を持って、A東京撃破を狙う。
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