文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

横綱バスケで主導権をキープしたA東京

サンロッカーズ渋谷vsアルバルク東京のゲーム1。終盤に猛追されるも、攻守ともに高いレベルでプレーしたA東京が、最大22点差のリードを生かし逃げ切り、74-69で勝利した。

第1クォーター序盤、A東京は抜群のパスワークからアレックス・カークがノーマークで2本の3ポイントシュートを沈め先行する。SR渋谷もベンドラメ礼生が内外から7得点を挙げる活躍を見せて互角の展開に持ち込むが、SR渋谷は3点ビハインドの場面で攻撃の要であるベンドラメとロバート・サクレを含む4人を交代すると得点が止まる。A東京は残り1分20秒に馬場雄大を投入。約3カ月ぶりにコートに登場した馬場はパスカットからワンマン速攻を繰り出し、復帰後初得点をダンクで記録。セカンドユニットの差でA東京が流れを呼び込み、22-11で第1クォーターを終えた。

劣勢を強いられたSR渋谷だが、ゾーンとマンツーマンを併用するハードなディフェンスで苦しい時間帯を耐え、広瀬健太のブザービーターで9点差まで詰めて前半を終える。そして第3クォーター残り6分にはサクレのシュートで35-41と2ポゼッションまで迫った。だが試合後、勝久ジェフリーヘッドコーチが「第1クォーターも第3クォーターも、結果的に同じことが起きてしまいました」と悔やんだように、追い上げムードを作ったところでサクレとベンドラメをベンチに下げると、再びリードを広げられた。

SR渋谷の猛攻を浴びるも『重みがあるゲーム』を制す

第4クォーター開始3分、ジャワッド・ウィリアムズのジャンプシュートが決まり、A東京が68-46とこの日最大のリードを奪った。これで勝負は決したかに思われたが、ここからSR渋谷が最後の追い上げを見せる。前線からのプレッシャーでこのクォーターだけで5つのターンオーバーを誘発し、A東京のフリースロー確率の悪さにも助けられ猛追。残り1分12秒、伊藤駿の3ポイントシュートで10点差まで詰めるも逆転には至らず、A東京が5点差で逃げ切った。

勝利したA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「全チーム重みがあるラスト11ゲーム、その一つ目の試合を勝ててうれしいです」と素直に勝利を喜んだ。

「リードを広げられたのはハードワークのおかげ。どっしりとプレーしたのは良かった」と試合を掌握した第3クォーターまでを振り返ったが、「北海道戦でも24点離したが詰められた。波があるとまでは言わないが、不安定な部分がある」と課題を挙げ、「残りの試合で安定感を突き詰めていきたい」と総括した。

ケガから復帰した馬場は「コートに入る時にすごい歓声の下で入れたので、戻ってきたなという感じと、応援されてるなというのは感じました」と試合に出れる喜びを感じた様子。

「あのシチュエーションの時に5秒先くらいの流れは分かっていたというか、わざと開けていたところもあって、それがスティールにつながりました」と復帰後初得点となったスティールからダンクに持っていったシーンを振り返った。

勝利が遠いSR渋谷「成功体験が足りない」

SR渋谷は終始ハードなディフェンスを見せたが、フィフティーフィフティーなボールやコールで不利になった場面で崩れた。勝久コーチも「リバウンドをとって初めてディフェンスの成功。チャージングをとって成功だと思うので、そういう意味ではまだまだです。タフショットを打たせた後にルーズボールを取れなかったのは痛かった」と振り返る。

SR渋谷は終盤に猛追するも惜敗する試合が多い。その要因として勝久コーチは成功体験の少なさを挙げた。「2018年に入ってからの成功体験が足りないのだと思います。勝ったという成功体験がない。2017年は勝ちにつながっていたから自信になった。やるしかないです」

レギュラーシーズンも残すところあと10試合。ルカコーチが『重みがある』と言ったように、チャンピオンシップ進出を決めているA東京にとってもホームコート開催を勝ち取る上で負けられない戦いが続く。SR渋谷はワイルドカード最後の1枠を勝ち取るためにも、勝ちを積み上げていくしかない。