ドワイト・ハワード

ハワードはアスリートが社会に与える影響を考えるべきと主張

NBAは7月末からフロリダ州のディズニーリゾートでシーズンを再開する。これから1カ月半、各チームごとにトレーニングキャンプを行って再開に向けた準備を進めていくが、参加22チームの中には、新型コロナウイルスの脅威、そしてアメリカを起点に世界に広がりつつある人種差別撲滅に向けた運動を理由にプレーしないことを考える選手も少なくないと言われている。

選手会でもこの件について話し合いが持たれているが、最終的には各々の考えで結論を下すしかない。

『The Athletic』によれば、6月12日のオンライン会議では、様々意見が出たという。たとえばトレイルブレイザーズのカーメロ・アンソニーは一致団結を求め、若い選手の意見を求めた。その上で全員が考える理念実現に向け、各々2万5000ドル(約270万円)の寄付を、会議に参加した80名あまりの選手に提案したという。

ジャズのドノバン・ミッチェルは再開後のリスクの方を懸念しているようだ。彼は、まだ5対5の実戦練習もできていないのにもかかわらず、1カ月半後にプレーオフ進出を争う8試合が、その後にレギュラーシーズン以上に強度の高いプレーオフの試合が行われるスケジュールに、ケガに繋がるリスクが高いと主張している。

またブレイザーズのCJ・マッカラムは、プレーを拒否したことに対する罰金や来シーズン以降の契約に影響が出るなどの金銭的な被害を想定すべきだと語った。これはオーナー側との労使協定の話し合いにも影響を及ぼすことになりそうだ。

レイカーズのドワイト・ハワードは、社会での変化が必要と訴えるべき時期であり、影響力のあるNBA選手たちがプレーすることで、今アメリカが直面している問題に意識を向けられなくなるのではないかとの疑念を語った。

人種差別撲滅に関しては、レイカーズのレブロン・ジェームズも動き出している。今週、レブロンはホークスのトレイ・ヤングらアスリートとともに、黒人層の投票を抑圧しようとする力に対抗し、投票を啓蒙する団体『More Than a Vote』という団体を設立。ただ、レブロンはプレーするつもりだと見られている。

著名なアスリートが社会に与える影響力は大きい。新型コロナウイルスの感染リスクもさることながら、人種差別問題に対する主張方法など、選手たちの間でも様々な意見が出ている。NBAシーズン再開に向けた課題は、まだまだ山積みだ。