文=丸山素行 写真=鈴木栄一

攻守の相乗効果で第2クォーターを圧倒

レバンガ北海道が敵地に乗り込み迎えた、サンロッカーズ渋谷との金曜ナイトゲーム。第2クォーターに攻守が連動したチームバスケットで主導権を握った北海道が90-64で完勝を収めた。

序盤は17-16で北海道がわずかにリードと拮抗して迎えた第2クォーター、試合は大きく動いた。北海道はSR渋谷を上回るディフェンスの強度と執拗なディナイによりボール回しを停滞させた。大黒柱のロバート・サクレもマーク・トラソリーニの好守の前に沈黙し、前半をわずか2得点に封じられた。

ディフェンスでリズムをつかんだ北海道は、オフェンスも活性化。スクリーンのタイミングや角度がばっちり決まり、ピック&ロールから簡単にズレを生み出し、オフェンス優位な状況を作り出す。松島良豪がノーマークのミドルシュートを確実に沈めて流れを作ると、トラソリーニが内外から得点を重ね11得点をこのクォーターで集中させた。

水野宏太ヘッドコーチは「渋谷はもともとペイントを固めて外はある程度打たせてくれるディフェンスだった。その代わりリバウンドが強いので、ショートコーナーの松島のシュートだったり、苦しい場面の折茂(武彦)のシュートなど、自分たちが決めるべきシュートを決めきったところがこのシュート確率の高さにつながった。渋谷がディフェンスしづらい状況を作れた」と第2クォーターを振り返った。

2ポイントシュートの成功率は渋谷の35.7%に対し、北海道は78.6%と大きく上回り、27-11とビッグクォーターを作り出した。

ディフェンスは終始緩まず、要所を締めて完全勝利

後半に入っても北海道のパフォーマンスは落ちず、開始1分で点差を20に乗せ、第3クォーター残り5分で58-29とダブルスコアまでリードを広げる。

その後は山内盛久がボールをプッシュし、連続得点を奪って流れを変えかけた場面もあった。だが北海道はすぐにタイムアウトを要求。直後のオフェンスで折茂が老獪なテクニックで3ポイントシュートのファウルを誘発し流れを切ると、山内のマッチアップをディフェンスの得意な関野剛平に代え反撃の芽を摘んだ。こうした水野コーチの慢心のない采配も光った。

第3クォーターを終えた時点で69-46、北海道が勝利をほぼ手中に収めた。最終クォーターもオフ・ザ・ボールの動きや1対1で負けないディフェンスなど、セカンドユニットも先発と遜色ないプレーを披露した。失点してもすぐに決め返し、SR渋谷に流れを渡さなかった北海道が、すべてのクォーターを上回る完勝を収めた。

「セメントの中を歩いているような印象」

北海道の良い面が際立った試合だけに水野コーチも相当な手応えを感じた様子で「良い」という言葉を連発。「良いエネルギーを持って高い強度でしっかりディフェンスをすることができ、その流れのまま良いオフェンスに持っていくことができた。良いディフェンスから良い速攻が出た」と試合を振り返る。

「全員が得点を取って試合を終えることができた。自分たちは誰か一人に頼ることなくチームを作っていく方針、今日は数字でも出すことができ非常に良かった」と語り、トラソリーニの25得点を筆頭に全員得点での勝利に満足げな表情を浮かべた。

一方、大敗を喫したSR渋谷の勝久ジェフリーヘッドコーチは「2018年最初のホームゲームでこんなみっともない試合をして、とても悔しいです」と暗い表情。勝敗を大きく分けた第2クォーターについてはこう語る。「プレーをやめる場面が多かったり、オフェンスでうまくいかなかった時にトランジションディフェンスが遅かったり、ディフェンスでギャンブルしてノーマークを作ったり、何一つ良いことがなかったです」

リーグトップ3に入る堅守をこの試合では発揮できず、「ミスもありましたが、動き出しが遅かったり、セメントの中を歩いているような印象」と、最後まで厳しい言葉が目立った。

敵地で同地区対決を制した北海道はSR渋谷とのゲーム差を2に縮めた。だが北海道はこれまで、アルバルク東京や川崎ブレイブサンダースなどの強豪に第1戦で勝利するも、連勝ができていない。熾烈な東地区での同一カード連勝は非常に難しいが、それができないと上には行けない。チャンピオンシップを目指す以上は、明日の第2戦を勝ち切れることが求められる。