永吉佑也

逆転された直後、しぶとくファウルをもぎ取る

1月24日、京都ハンナリーズは敵地に乗り込み川崎ブレイブサンダースと対戦。劣勢の時間帯でもしっかり我慢して崩れることなく、82-78と競り勝った。これで京都は7連勝。一方で川崎は今シーズン2度目の連敗となっている。

試合序盤、川崎は開始2分半でジョーダン・ヒースが早くも2本の3ポイントシュート成功と得意の長距離砲で優位に立つ。しかし、京都もデイヴィッド・サイモンが高確率でシュートを沈めて盛り返し、21-19と逆転して第1クォーターを終える。

第2クォーター、京都はサイモン、マブンガのエース2人で計4得点と抑えられる。それでも松井啓十郎が得意の3ポイントシュートを決めると、12月に入って残りシーズンの選手契約を結んだ東海大4年生の寺嶋良が、持ち前のスピードで川崎の守備を切り崩す。ちなみにマブンガは「彼のニックネームは『フラッシュ』で、俺がつけた」と寺嶋を絶賛。25-25の同点から12連続得点を挙げた京都が5点をリードしてハーフタイムを迎える。

しかし第4クォーターに入ると、川崎はこのクォーターで13得点と大暴れだった藤井祐眞を軸に、ようやく外角シュートに当たりが来たことで反撃。残り45秒には大塚裕土の3ポイントシュートでついに78-77とひっくり返す。

だが、京都はすぐに再逆転に成功する。マブンガのシュートは外れるも、そのリバウンド争いでボックスアウトから好ポジションを取った永吉佑也が値千金のファウル獲得。これで得たフリースローを2本連続で決めた。2点リードで残り12秒からのディフェンスでは、藤井に対しスイッチでマークについた永吉が激しいプレッシャーを掛け、体勢を崩してのパスを強いる。ゴール下でなんとかパスをつかんだニック・ファジーカスがシュートに持ち込む前に松井がスティールに成功。こうして京都が激戦に終止符を打った。

ここ一番で「僕の役割です」と語るディフェンスとリバウンドで素晴らしいプレーを見せた永吉にとって、川崎はBリーグ初年度まで3シーズン在籍していた古巣。そして、今でも川崎の本拠地とどろきアリーナでの試合は、他とは違う感覚があると語る。「お世話になった人たちもたくさん見に来てくれていて、アウェーの中で一番特別な試合です。今日も会場までの移動中、街並みを見てここ懐かしいな、ここ変わったなと思っていました。ちょっとだけ帰省した気分になります」

寺嶋良

「縦に割って行ける」寺嶋良の加入効果は大

これで京都は15勝16敗。11月始めからの13連敗でふくらんだ借金もあと1つとなった。この復調の要因を浜口炎ヘッドコーチはこう語る。

「まず、ジュー(マブンガ)とD(サイモン)のケガが治って、しっかり戦える状態になってきたのが大きい。ポイントガードのボール運びで厳しい時がありましたが、(寺嶋)良が入って(中村)太地、ジューと相手の状況を見ながらいろいろな選手を使えるようになりました。良はスピードがあるので、川崎さんのように前からしっかり当たってくるチームに対し、縦に割って行ける。自分たちのリズムでオフェンスに入れる回数が少し多くなりました。」

守備面では、より積極的なスタイルへの変更が当たっている。「ディフェンスもファストブレイクを出されないように、少し下がって守る。オフェンスリバウンドには行かないようにしていました。それを今はもう少しアグレッシブにプレーしているところです。このリーグでは、インテンシティを高くしないと上に行けない。前から当たるなど激しくしています」

そして勝ちが続くことで、「勝ち癖、負け癖ではないですが、これまで接戦は割と勝っていたのが、連敗中は競り合いも落としていました。これが最後、選手たちがスマートにプレーできるようになってきたことで、少しずつ勝てるようなってきました」と、京都本来の強みである試合運びの上手さが出るようになってきたことに手応えを得ている。

大塚裕土

大塚裕土の責任感「気持ちの部分で引っ張る」

一方、水曜日の横浜ビー・コルセアーズ戦に続いて接戦を落とした川崎は、天皇杯を挟んでリーグ戦ここ4試合で3敗となった。試合終盤、一時は勝ち越しとなる3ポイントシュートを決めるなど存在感を見せていた大塚は「うまく行かない時に、どうしてもチームの雰囲気が悪くなる。(篠山)竜青やマティアス(カルファニ)のケガから頭を下げるシーンが増えてきて、そういうところが負けに繋がっています。バスケットどうこうではなく、前半戦のような盛り上げ方、誰が出ても良いエナジーを出していくところを自分たち自身で消している」と課題を語る。

「横浜戦もそうでしたが、熱いプレーをしながら、もっとスマートさが必要です。正直、前半戦は競って負ける気がしなかったので、その雰囲気を取り戻さないといけない」と続けるとともに、自分がもっとチームを牽引すると意気込む。

「自分たちのパフォーマンスをすれば負けることはないです。良い流れを持って来るという気落ちをもっと強く持たないといけない。その部分では責任を感じています。気持ちの部分で自分もチームを引っ張っていきたいです」

京都はここで連勝を伸ばせばついに5割復帰と果たす。一方、川崎は佐藤賢次ヘッドコーチが「リーグ戦も天皇杯と同じように準備して一つずつ勝つため全力を出し切ろうとやっていますが、やるべきことをやれている選手とやれていない選手、やれている時間帯、やれていない時間帯があってチグハグです。ここを修正しないとこのままズルズル行ってしまう」と危機感を露わにする。

今日の第2戦は、両チームにとってこれからのリーグ戦に大きな影響を与える大事な一戦となる。

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