文=丸山素行 写真=鈴木栄一

悪い流れで耐えたSR渋谷、自分たちのミスで崩れた横浜

アーリーカップ『関東』大会の2日目、サンロッカーズ渋谷と横浜ビーコルセアーズが5位6位決定戦で対戦した。両チームとも前日の試合では新たに目指すスタイルを体現する時間帯もあったが、流れの悪い時間帯に辛抱しきれず大差で敗れている。前日の敗戦からどう修正し、チームを上向かせるかが注目された試合、最終クォーターにSR渋谷が逆転勝利を収めた。

前半は重い展開で拮抗する。湊谷安玲久司朱が3ポイント2本を含む4本のフィールドゴールをすべて成功させ10得点を挙げれば、SR渋谷は8人が得点を挙げるバランスの良いオフェンスで反撃し、互いに譲らない。均衡から抜け出したのは横浜。33-29と4点リードで迎えた第3クォーター、細谷将司の3ポイントシュート、ジェイソン・ウォッシュバーンに連携からインサイドで得点され、この日最大となる8点のリードを奪った。

しかし、前日はこの流れでズルズルと後退したSR渋谷が、この日は集中力を切らすことなく踏ん張り続ける。長谷川智也の3ポイントシュートやロバート・サクレのインサイドプレーで得点し、我慢の時間帯を乗り切った。

横浜の古田悟ヘッドコーチは「勝ちきれないのがウチの現状。流れがつかめた時に自分たちのターンオーバーでリズムを崩すというのが負けパターンです」と試合後に悔やんだ。「そこさえ直せれば勝ち星はもっと増えると思います。特に後半にフィジカル含めて削られていく中で、いかに自分たちのプレーができるかが大事」

横浜の大黒柱が故障、好機を逃さなかったSR渋谷

52-48とリードして最終クォーターに突入してすぐ、横浜をアクシデントが襲う。オフェンスリバウンドを争った着地の際に足を痛め、そのままプレー続行不能となってしまったのだ。外国籍選手枠をまだ1枠余している横浜にとって、ウォッシュバーンの故障退場は大きな痛手となった。

SR渋谷はこの機を逃さず勝負をかけた。残り7分20秒、長谷川のレイアップで55-54と逆転に成功すると、大黒柱を失った横浜のインサイドをジョシュ・ハレルソンとブランデン・ドーソンが攻め立て、11-0のランで一気に突き放した。横浜は川村卓也、ジェフリー・パーマーが反撃して意地を見せるも及ばず、最終スコア73-67でSR渋谷が勝利している。

勝久ジェフリーヘッドコーチは「ディフェンスでリズムを作れず、自分たちのやりたいバスケができませんでした。正しいプレーを続けようと意識した結果、少しづつ後半に流れが来ました」と苦戦しながらも勝ち切った試合を振り返った。「5人でうまく共通理解を持ってどういうタイミングで中を攻めるかがまだできていないですが、オフェンスだけで解決するのではなく、ディフェンスから流れを作った時にはいろいろスムーズにいったと思います」と手応えを語った。

初の公式カップ戦を終えた両チーム。この大会で露呈した課題や新たな発見を修正し、約3週間後に控える開幕を最高の形で迎えてほしい。