文・写真=小永吉陽子

プラン通り1勝を挙げ、ベスト8入りをかけ今夜イタリア戦

エジプトで開催中のU-19ワールドカップは予選ラウンドが終了。日本は第3戦でカナダに75-100と完敗を喫したが、予選ラウンドはプラン通りに進んだといえる。初戦のスペインに果敢に挑み、照準を合わせていたマリ戦に勝利。メダル候補のカナダにはチャレンジしながらも、全選手が世界舞台を経験。グループ3位で決勝トーナメントに進出する第一目標をクリアすることはできた。

世界のトップレベルであるカナダから75得点を奪い、スペインに終盤まで競ったことを手応えにして、ベスト8を目指すことが次の目標だ。次戦はベスト8入りをかけた16ラウンド。グループC3位の日本は、グループD2位のイタリアと対戦する。

FIBAのアンダーカテゴリーの大会方式はフル代表とは異なり、特殊な方式で行われている。U-19は2015年の前回大会から、U-17は参加国が16チームに増えた2014年大会から、準々決勝の前に『16ラウンド』を設けている。これは出場全チームが決勝トーナメントに進出できる仕組みだが、育成年代において消化試合をなくし、国際舞台で真剣勝負の場を増やすことを目的としている。

トーステン・ロイブルヘッドコーチは「日本はアジアを勝ち抜き、ワールドカップに出ること自体がセンセーションで、今大会は世界に驚きを与えようとやってきた」と語る。目標であるベスト8に向けて、イタリア戦の展望を主力選手に聞いた。

三上侑希「世界の壁を破るチャレンジをしたい」

カナダ戦は出だしが良かったので、一瞬、勝てるかなと思ったけど、それでもカナダのスピードと高さ、1対1の強さにやられてしまい悔しかったです。カナダは速攻でしっかりとねじ込んでくるし、フェイクが速くて惑わされてしまうし、最後のフィニッシュまで持って行く力が今まで戦った国とは違いました。

自分はずっとシュートが入らなかったんですけど、その分はディフェンスを一生懸命にやり、チームの展開が良くなるように、ドライブをしてキックアウトをすることをやっていました。カナダ戦でようやくシュートタッチがつかめてきたので、明日は良い調子で迎えられるようにしたいです。

今まで日本は世界で勝てなかったけれど、自分たちがワールドカップに出てそれを乗り越えるチャンスを得たので、イタリア戦でその壁を破ることにチャレンジしたい、やっぱりカギとなるのはディフェンスとリバウンド。リバウンドは簡単には取らせないようにして、もっとガード陣が飛び込んでいって、チップをしてはたくこととか、やることを徹底しないといけない。ディフェンスでは、ヨーロッパのチームはピック&ロールがうまいので、今まで以上にもっともっと声をかけあって守ることを意識したい。

増田啓介「イタリアに勝ったらとてもデカイこと」

カナダ戦は出だしが良かったのでいけるかなと思ったんですけど、メンバーが変わってからそこで詰められてしまって、一気に流れを持っていかれました。優勝はアメリカかカナダかと言われているくらいで、カナダとは力の差があることは目に見えて分かっていたので、チャレンジ精神を持ってやることを意識していました。ゲームの序盤はチームの約束事を守ってやることができていただけに、途中から離されてしまったのが悔しいです。

日本はこれまでシューター7割、インサイド3割で攻めていたけれど、八村が来てからは八村6割、シューター4割みたいなシステムになりました。6割といっても、八村は自分でも攻めるし、周りも生かしてくれる選手。自分は最初はうまく合わせられずパスを意識してしまったんですけど、だんだん自分のシュートを打てるようになり、大会に入ってはやれている手応えがあります。

次に勝てばベスト8で、そこを目標にずっとやってきました。イタリアに勝ったら、日本としてはとてもデカイことなので、明日は絶対に勝ちたいと思います。

八村塁「本当にやらなきゃいけない試合で成果を出したい」

3年前のU-17世界選手権でもカナダとは対戦していて、あの時も出だしは良くて、途中から踏ん張り切れないような試合でした(試合結果は52-96)。カナダはどっちかというとアメリカのようなチームで、バスケのしかたが似ている。身体の使い方がうまいと改めて思いました。

個人的にはここまでシュートの確率があまり良くないので、上げていかなきゃいけない。ダブルチームやトリプルチームをされることは日本にいた時からそうだったので、あまり気にしていません。周りをよく見てパスをしたり、攻めることを意識しています。

日本はU-17世界選手権では順位決定戦で1回勝っただけ(UAEに91-49)。今回のワールドカップでは予選ラウンドで勝ったことが大きいと思う。自分は1年間、NCAAの高いレベルでやってきたので、本当にやらなきゃいけない試合でその成果を出したい。イタリア戦は大事な試合なので、チームミーティングでやるべきことや決まり事をもう一度確認して、イタリア戦に向けて頑張りたい。

重冨周希「全員出場でイタリア戦に備えることができた」

カナダ戦は2、3番ポジションのところでドライブでは対応できたけれど、センターポジションのところでセカンドショットやリバウンドで何回もやられてしまい、そこから点差がどんどん離れていってしまった。自分たちの良いところを継続することを最後までできなかった。ただ、完璧な試合ではなかったけれど、イタリア戦につなげることはできたと思う。

イタリア戦は絶対に勝たなければならない試合。その分、今日のカナダ戦では交代しながら全員出場してイタリア戦に備えることができたので、明日は完全に日本のチームプレーをやっていくことを心掛けます。

西田優大「世界に驚きと感動を与えられるバスケをしよう」

カナダ戦では出だしが良かった分、試合結果は残念でした。第2クォーターからは自分たちのパフォーマンスが出し切れずに負けたのが悔しいところです。カナダはもともと自分たちよりも格上だと分かっていたのですが、後半に自分のシュートが入らなかったりとか、思い通りのプレーができないまま交代したりして、気持ちが切れてしまったところがあります。

明日のイタリア戦ではもっと日本らしく粘らないといけない。試合に向けて、身体のケアをしっかりして臨むしかないです。これまで僕たちは「日本のバスケで世界に驚きと感動を与えられるバスケをしよう」という気持ちで練習してきました。イタリアにしっかり勝ち切って、日本にいい結果をもたらせるように、しっかりやりたいと思います。