マサイ・ウジリ

クーパー・フラッグを絶賛「彼を新しい王に育てる」

マサイ・ウジリはラプターズのアシスタントGMになった2008年から、ナゲッツのGMを挟んでラプターズのGM、球団社長を務めた。2019年にはヤングコアにカワイ・レナードを加えたチームで球団初優勝という偉業を成し遂げている。その彼は昨年6月の契約満了を持ってラプターズを離れたが、この業界で実績のあるマネージャーは放ってはおかれない。

「子供たちを送り迎えする運転手をやっていた」と冗談を言いつつ、これまでの仕事をじっくりと振り返り、次なる挑戦に向けた準備をしていた彼にマーベリックスのオーナー、パトリック・デュモンから連絡があったのは昨年12月のこと。昨年2月のルカ・ドンチッチ放出を主導したニコ・ハリソンGMの解任後も、この愚行に怒り狂うファンをなだめるために、チームの新しい指針を示すことのできるフロントが必要だった。

そこから2人は何度も話し合いの機会を持った。ランチミーティングが5時間に及び、レストランがディナー営業に切り替わるタイミングで追い出され、場所を移して話を続けたこともあった。「誠実かつ率直で、時には厳しいことも言った。そのプロセスがあったからこそ、自分が進むべき道を理解することができた」とウジリは言う。

ウジリはマーベリックスの新たな球団社長となり、現地5月5日に就任会見が行われた。ファンと同じく地元の記者たちも、15カ月が経過した今もドンチッチ放出に囚われており、「あなたならルカをトレードしなかっただろうか?」と質問したが、ウジリの答えは明確だった。

「ドンチッチは将来の殿堂入り選手で、これからもマブスの一員であり続ける。しかし、我々は前に進まなければならない。他人がやったことの批判は私の仕事ではない。私がそんなことをしていたら『それは今あなたがやるべきことか?』と問いただしてほしい。私の責任は未来を見据えて勝つことなんだ。素晴らしいチャンスを与えてくれたマーベリックスに感謝し、この場所に落ち着きと勝利をもたらしたい」

「アフリカでは『王が去れば、王が来る』という言葉がある。一人の王が去ったが、ここには小さな王子がいる。我々は彼を新しい王に育てるんだ」とウジリは言う。「何が起きたかは理解しているが、リセットして勝ちに行きたい。いつまでも嘆いているわけにはいかないだろう。癒しの時間は必要だが、ここには輝く未来がある」

マブスを再び強豪へと引き上げるための方策を、ウジリはこう語る。「この業界で最も難しいのは、世代最高の選手を見いだすことだが、このチームにはすでにクーパー・フラッグがいる。それは非常に大きな強みなんだ。核となる選手はもういる。クーパーを中心に、デレック・ライブリー二世、マックス・クリスティ、ライアン・ネムハードといった若手を適切に組み合わせてチームを構築していく」

それとともに今のNBAのトレンドに対応すべく、メディカル部門を見直し、コート外で若手のメンタルをサポートする体制を整えるのがウジリのアイデアだ。

そして、今年のNBAドラフトで再び幸運に恵まれることを願っている。「あそこにローランド・ブラックマンがいるね。今回も彼に1位指名権を引き上げてもらいたい」とウジリは笑った。22番がマブスの永久欠番となっているブラックマンは、今はフロントの一員として働いており、昨年のドラフトロッタリーでは1.8%の確率だった全体1位指名権を引き当てた。

「私もラプターズの代表としてドラフト前のフラッグのワークアウトを見たんだ。最高の逸材だと思った。ロッタリーで6番目から1位指名権を引き当てたいと気合いを入れていたんだが、逆に9位に落ちてガッカリしたよ。でも、神様は私にクーパーを与えてくれた。彼のようなタレントは滅多に現れない。その才能を最大限に生かすべく全力を注ぐ」

フラッグの将来性を熱く語るウジリに「フラッグがいなくてもこの仕事を引き受けたか?」との質問が飛ぶと、ウジリはうれしそうにこう答えた。「ビクター・ウェンバニャマ、ルカ・ドンチッチ、アント(アンソニー・エドワーズ)、シェイ(ギルジャス・アレクサンダー)はこの先10年、あるいは15年に渡ってNBAに君臨する。それに対抗するタレントが必要で、マブスにはクーパーがいる。だから私は引き受けたんだ。NBAで優勝するのは並大抵のことではないが、我々にはそのための武器がある」