ジェイレン・ブラウン

「すべての試合で粘り強く、闘志を出して戦ってきた」

セルティックスの指揮官ジョー・マズーラは、セブンティシクサーズとの『GAME7』でスタメンを大きく変更した。ジェイレン・ブラウンとデリック・ホワイトはともかく、ルカ・ガルザとバイラー・シェルマン、ロン・ハーパーJr.という選択は『賭け』としか表現できない。

シーズンを通してローテーションを守り、先発20試合を経験した2年目のシェルマンにしても、この『GAME7』がプレーオフ初先発。ガルザはニーミアス・ケイタとニコラ・ブーチェビッチに続く3番手のセンターで、ハーパーJr.は出番の多くがガベージタイムだった。膝に痛みの出たジェイソン・テイタムと体調不良のブーチェビッチが欠場したとは言え、ケイタやペイトン・プリチャード、サム・ハウザーやジョーダン・ウォルシュの起用が定石だろう。それでも若い3人を抜擢したのは、大差を付けられた第6戦の終盤に超アグレッシブなプレーを見せていた勢いを買ったからだ。

しかし、試合開始からシクサーズに流れを持っていかれ、ハーパーJr.は4分で交代させられてその後は出番なし。ガルザも出場9分のみ。22分プレーしたシェルマンも含めて、抜擢した3人全員が無得点と、『賭け』は完全な失敗に終わった。

それでもベンチから出たプリチャード、ハウザー、ケイタが試合を立て直し、シュートスランプに陥っていたホワイトもテイタムの穴を埋めるべく積極的に攻めて26得点を挙げた。シーズンを通してチームを引っ張ってきたブラウンは、センターとしてジョエル・エンビードをマークする超スモールラインナップも含めて攻守にフル回転した。

最大18点のビハインドからペースを上げての3ポイントシュート攻勢で巻き返す。鬼神の如き働きを見せたエンビードが、このペースに付いていけずガス欠に陥ったことで流れはセルティックスに傾き、残り3分49秒にケイタのフリースローで98-99の1点差と肉薄した。

しかし、そこから8本連続でシュートが決まらず、リバウンドに食らい付いたのもシクサーズのほうで、100-109でセルティックスは敗れた。指揮官マズーラは「良いシュートチャンスは作れていたが、シュートが入らなかった。シュートが決まらなかっただけなんだ」と繰り返した。

「3ポイントシュート頼みで、当たりが来ない時には無力」という批判が出るのも当然だろうが、プリチャードは「3勝1敗でリードしていた時点では、そんなこと誰も指摘しなかった。シュートさえ決まっていれば誰も文句は言えない。だからこそ決める必要があった」と肩を落とす。

ホワイトも「シュートが決まらなくてもチームに貢献する方法は他にあるけど、やはりシュートは重要だ。勝負どころで決められなかった。素晴らしい瞬間もたくさんあったシーズンだけど、この悪い記憶も残る。長いオフシーズンを、次の成長に繋げなければ」と語った。

そんなチームメートとは受け止め方が異なっていたのはブラウンだ。テイタムが長期欠場した間、エースとして、リーダーとしてセルティックスを引っ張った彼は、「望んでいたような結末ではないけど、素晴らしいシーズンだった」と静かに語り始めた。

「負けたことについては、シリーズが進むにつれて強くなっていったシクサーズを称えたい。それに対して僕たちも引かず、この『GAME7』でこのシーズンを通してやってきたスタイルを見せた。勝負どころで決められず、少しだけ及ばなかったけど、下を向く必要はない。誰一人として恥じることはない」

第2シードのセルティックスが、第7シードにアップセットを食らう形になったが、ブラウンは「シクサーズは普通の第7シードじゃない」と言う。「ポール・ジョージとタイリース・マクシーが素晴らしいプレーを見せ、何よりエンビードが決定的な違いを生み出していた。彼に対して僕たちは最後まで明確な答えを見いだせず、それが最後の差になった。コーチのニック・ナースと選手たちの素晴らしいバスケを称えるしかないよ」

テイタム不在に加えて、ドリュー・ホリデーやクリスタプス・ポルジンギスなど2年前の優勝メンバー放出で、今シーズンは満足に戦えないと見られていたが、その過小評価を覆した。ブラウンは「まだ負けたばかりで、来シーズンのことを考えるのは難しい。でも、新加入の選手やあまり出番のなかった若手が、レギュラーシーズンでもプレーオフでも大きく成長して、チームをここまで連れてきてくれた。そのことを誇りに思う。それがすべてだ」と語る。

「美しいバスケじゃなかったかもしれないけど、すべての試合で粘り強く、闘志を出して戦ってきた。それは見ている人たちにも伝わったはずだ。今日はその象徴のような試合だった。スモールラインナップやルーキーまで駆使して、最後の最後まで勝利のためにできる限り戦った。このチームでプレーできたことに感謝している。最高に楽しいシーズンだったよ」