ディアロン・フォックス

トレイルブレイザーズとのシリーズを4勝1敗で制す

スパーズが4勝1敗でトレイルブレイザーズを破り、プレーオフのカンファレンスセミファイナル進出を決めた。

シリーズ突破を懸けた第5戦、スパーズは相手に一度もリードを与えなかった。開始3分でジュリアン・シャンペニーの3ポイントシュート連続成功を含む12-2のランで抜け出し、21点リードで始まった第4クォーターに点差を1桁まで縮められたが、そこからディアロン・フォックスが次々とシュートを決め、相手の望みを断ち切った。

ビクター・ウェンバニャマとのピック&ロールを筆頭に、ステフォン・キャッスルにボールを預けてのカッティングへの合わせも高精度で決まり、プレッシャーが甘ければそのまま3ポイントシュートを射抜く。フォックスは21得点のうち13得点を第4クォーターに固める勝負強さを披露した。

指揮官ミッチ・ジョンソンは「彼はクラッチプレーヤー賞に選ばれた実績の持ち主だ。第4クォーターに多くのボールを預け、試合を支配する役割を担っている。自分でアタックすべき時と周りを生かす時の判断、バランス感覚は、私がこれまで見た中でも彼が一番だ」と、その勝負強さを称えた。

スパーズは絶対的なエース、ビクター・ウェンバニャマを擁するが、ポジションもプレースタイルも異なるフォックスとコンビを組むことで、そのポテンシャルが存分に引き出されている。フォックスが加入するまでは、勝負どころでウェンバニャマに頼りっぱなしだっただけに、クラッチタイムでチームを引っ張るフォックスの存在は大きい。

「攻めあぐねる時間帯もあるし、ターンオーバーが出る時もある。それを自分だけで解決しようとしないことだ」。クラッチタイムにプレーする心構えをフォックスはそう語る。

「そうじゃなく、どこからシュートを生み出すかを意識するんだ。このシリーズを通してオフボールでも激しくマークされたけど、第4クォーターは動き続けることでそれを無効化した。そうしてボールを持った時に、ダブルチームが来ればパスを出し、そうでなければ勝負する。今日は良いプレーができたと思うよ」

キャリア9年目の28歳。ベテランと呼ばれる年齢ではないが、若手揃いのスパーズでは経験豊富なチームリーダーだ。もっとも、昨シーズン途中までプレーしたキングスは成功とは縁の遠いチームで、フォックスもプレーオフの経験は2022-23シーズンしかない。その時はウォリアーズと『GAME7』にもつれる接戦を演じるも、ファーストラウンド突破は果たせなかった。

プレーオフを戦い、優勝争いを演じるために移籍を選んだ彼にとって、プレーオフでのシリーズ初勝利は大きな成功と言える。「ここに来るまで時間はあったけど、それだけ気分は良いね」とフォックスは笑顔を見せた。「お祝いは優勝まで取っておくよ。僕はもともと派手なことをするタイプじゃないし、優勝しても大騒ぎはしないと思うけどね」

勝ち上がるたびに相手は強くなっていくし、クラッチシチュエーションも増えていくだろう。そこでウェンバニャマに頼りっぱなしでは、チームの成功は覚束ない。ブレイザーズを破ったこの第5戦では、序盤にオフェンスを引っ張ったシャンペニーのような日替わりのヒーローが現れ、脳震盪から復帰したウェンバニャマに過度な負担をかけることなく、最後はフォックスで締めた。理想的な勝ち方でシリーズ突破を決めたことで、スパーズはさらに勢い付く。