
前回の因縁を水に流し、フェアで激しい試合を展開
サンダーとナゲッツは10日前の対戦で、ルーゲンツ・ドートに足を引っかけられたことでニコラ・ヨキッチが激怒。揉み合いになった末に、試合後の会見でもお互いを非難する後味の悪い幕切れとなった。
現地3月9日の再戦を前に、最後まで自分たちの非を認めなかったサンダーの指揮官、マーク・ダグノートは「ルー(ドート)はあれが不必要なプレーだったと認めている。私の発言も適切ではなかった。今後のチームを守りたいがための発言だった」と謝罪。ナゲッツの側も必要以上に荒っぽいプレーをするような愚は犯さず、フェアかつ激しい戦いが繰り広げられた。
サンダーは5連勝中とはいえチェット・ホルムグレンとアイザイア・ハーテンシュタインのツインタワーに加えて、ジェイレン・ウィリアムズやアレックス・カルーソと主力の多くを欠く状況。それでもシェイ・ギルジャス・アレクサンダーがMVP級の活躍を見せ、他の選手もきっちりと自分の役割を果たしてエースをフォローする。
その筆頭がジェイリン・ウィリアムズだ。2022年の2巡目34位指名のジェイリンは、ホルムグレンとハーテンシュタインに次ぐ3番手のセンターで、出場機会は安定しない。それでも先発起用に奮起し、ニコラ・ヨキッチを相手に激しいファイトを見せた。ヨキッチとジャマール・マレーに自由自在のピック&ロールを許せば、守備の対応は後手に回って手が付けられない。ピックの時点でヨキッチを良いポジションに入れさせず、彼の狙うパスをディナイで妨ぎ、良いプレーを決められても下を向くことなく、次のポゼッションでまた勇敢に立ち向かった。
ヨキッチとマレーの連携はクラッチタイムでこそ光るのだが、109-109の同点で迎えた残り5分からの3分間で、サンダーはジェイリンを中心に相手の連携を断ち切り、12-4のランでナゲッツを突き放す。その後にナゲッツが一度は同点に追い付くのだが、これも連携が上手くいかないままヨキッチが強引に仕掛ける『らしくない形』の反撃だった。
しかし、ジェイリンは最後にすべてを台無しにしかねないミスを犯した。残り13秒で4点リード、セーフティで行くべき場面でヨキッチの3ポイントシュートに必要以上にコンテストに行き、その手前にいたマレーを倒してしまう。ヨキッチがシュートを決め、マレーにもフリースローが与えられる4点プレーとなって、土壇場で追い付かれてしまった。
The moment Shai called game from every angle 🥶
Your @OGandE Power Play of the Game pic.twitter.com/wFG2VVKLr0
— OKC THUNDER (@okcthunder) March 10, 2026
それでも、チームのミスをフォローして勝ちに繋げるのがエースだ。シェイがサイドステップでマークをかわしてのゲームウィナーを決め、サンダーが129-126で勝利した。ヒーローになったのはいつも通りシェイだったが、ジェイリンの働きも見逃せない。
指揮官ダグノートは「信じられないほどの闘志だった。試合前に本人に『今日はヨキッチと真っ向勝負してもらう』と伝えたが、彼は臆するどころか喜び勇んで挑戦していった。ヨキッチを守るのは至難の業だが、彼のパフォーマンスは際立っていた」と語る。彼はヨキッチのマークを担当するだけでなく、オフェンスではチャンスを高確率で決め、3ポイントシュート7本成功を含む29得点を挙げた。
「ヨキッチは複数のMVPを取っている偉大な選手だ。ほぼすべてのプレーが彼を経由する。完璧に止めようなんて思ってはいない。今日も彼は30得点超えのトリプル・ダブルをしているんだからね。彼の仕事を少しでも難しくさせるのが僕の役割だ」とジェイリンは言う。
それができるのは「生まれつきの負けず嫌いだから」だそうだ。「子供の頃からそうなんだ。今日も兄弟が来ているから、疲れているけど帰ったら庭のリングで勝負するだろうね。僕はそういうヤツなんだ。だからコーチから『ヨキッチと真っ向勝負だ』と言われたら楽しみで仕方なかった。勝てたからさらに最高だよ」
シェイは125試合連続で20得点超えを達成。これでウィルト・チェンバレンの記録に並んだ。試合後のヨキッチは「驚異的な選手だよ。最後もビッグショットを決められた。僕らは彼に打たれた時点でダメで、他の選手に打たせるような工夫が必要だったね。でも、特別な選手である彼を称えるしかないよ」と、MVPレースのライバルを称えた。
試合終盤にドートに顔をはたかれたシーンがあったが、前回とは違ってヨキッチは何とも思っていない。「大丈夫。前回の対戦のことはもう終わったことだよ」
10日間で2度の対決があり、いずれもサンダーが勝利した。4月にレギュラーシーズン最後の対戦を残しているが、ポストシーズンでも両者は対戦するだろう。この両チームが感情的なしこりを残すことなく、フェアに激しい戦いができたことはNBA全体にとって幸いだ。