「しっかりと自分をアピールして、悔いのないように」
11月19日、男子日本代表は、『FIBAバスケットボールワールドカップ2027アジア地区予選』Window1に向けた強化合宿をメディアに公開した。
日本は11月28日にホーム、12月1日にアウェーでチャイニーズ・タイペイと対戦。FIBAランキングや強化試合など近年の力関係を見れば日本優位に思えるが、今夏の『FIBAアジアカップ』でチャイニーズ・タイペイはベスト8に進出。ベスト8進出決定戦で敗れた日本よりも成績は上位だった。中国プロリーグCBAでプレーし、アジアカップで平均14.8得点を挙げたリン・ティンシェン、平均13.2得点のチェン・インチュンのガードコンビは要警戒の破壊力を持っている。
日本がチャイニーズ・タイペイ対策として最も重視すべきは、このガードコンビをいかに抑えるか。その大役を担う1人として期待したいのが宇都宮ブレックスの高島紳司だ。今回、強化合宿に招集されたメンバーは若手を含めて代表常連組が大半だが、高島はフル代表としてFIBA国際大会の出場経験がない数少ない新顔だ。
191cmのシューティングガードである高島は、これまでディベロップメントキャンプや2023年のアジア競技大会のメンバー選出(大会直前の負傷で参加辞退)でトム・ホーバス体制での代表経験はある。とはいえ、他の参加メンバーに比べたら経験値は明らかに少ない。試合に迎えた準備期間も短い中、それでも招集されたのはそれだけ高島に大きな期待が寄せられていることの証拠だ。
高島は意気込みをこう語る。「A代表の試合に向けた合宿参加は初めてです。いつも選ばれている選手が多く、すでに出来上がっているチームに入っていく感じなので、短い時間でアジャストしなければ(試合出場は)難しいです。ただ、選ばれたからには試合に出ることを目指しています。ずっとこの舞台でやりたいと思ってきました。選ばれるか、選ばれないかはトムさん次第ですが、しっかりと自分をアピールして、悔いのないようにやっていきたいです」
『ずっとこの舞台でやりかった』と明かしつつも、高島はこれまで特に代表選出については意識してこなかったと続けた。高島らしい地に足をつけた性格と宇都宮へのチーム愛が理由だった。
「代表に選ばれることは素晴らしいですし、目指すところです。ただ、代表だけを見ていても難しいです。まず自分のチームで、自分のプレーをアピールすることにずっとフォーカスしてきました。その結果として、今回の合宿に選ばれたと思います。まずは自分のチームでひとつ1つ結果を残すことを考えていました」
「自分から発信して、プレーを見せていかないといけない」
実際、高島は宇都宮で着実に結果を残し続けてきた。昨シーズンは主力の一員としてBリーグの王座奪還、『バスケットボール・チャンピオンズリーグ・アジア(BCL Asia)2025』王者とタイトル獲得に貢献。今シーズンはここまで不動の先発を務めるなど、宇都宮に欠かせない存在となった。
宇都宮で高島は、エースストッパーとして相手のメインガードを抑える役割を担っている。代表でも求められる役割は同じだ。このディフェンスには本人もプライドを持っている。
「トムさんから明確にディフェンスを求めていると言われました。ディフェンスが評価されたのはよかったですし、これまでずっとやってきたことが間違っていなかったと感じています。自分の持ち味は小さい相手にもつけるところ。Bリーグでも見せている、前からプレッシャーをかけて相手のエントリーを遅らせたり、ボール運びをさせないくらいのディフェンスを見せていきたいです」
代表での実績はない高島だが、すでに国際大会で持ち味の守備が通用することを実証済みだ。アジア最強クラブを決めるBCL Asiaの決勝アル・リヤディ戦で、レバノン代表でも主力を務める相手のメインガードを激しいプレッシャーディフェンスで苦しめたのは記憶に新しい。
この大会で得た手応えを高島はこう振り返る。「大会で戦っていた時は、マッチアップした相手の立場などは知らなくて、アジアカップの日本代表とレバノン代表の試合を見て、代表のメインでプレーしている選手だと知りました。大会が終わって結構経ってからではありますが、自信になりました。ああいった舞台でしっかりと自分がやってきたことが通用した実感も湧きました」
今シーズン、ここまでのパフォーマンスを見れば高島が12名のロスターに選ばれても驚きではない。いかに、ホーバスのスタイルへの習熟度を高められるかがロスター入りの大きなカギとなる。そのためにすべきことを高島は次のように話した。
「僕の得意なプレーや、何ができる・できないかを完璧に知っている人は少ないと思います。そこは自分から発信して、プレーを見せていかないといけない。トムさんだけでなく、チームメートに対してもアピールしないといけない立場だと思います」
日本代表の次代を担う1人として、今回のWindow1が高島にとって飛躍の舞台になるのか注目だ。

