プレッチェルアシュテン

「やるべきことをやって素晴らしい形で終えることができました」

『第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会』の準決勝でENEOSサンフラワーズは、60-55でトヨタ自動車アンテロープスとの激闘を制し、2年ぶりの決勝進出を果たした。

ENEOSは1点リードの残り29秒にダメ押し3ポイントシュートを沈めた馬瓜エブリンが18得点、宮崎早織が11得点と、経験豊富なベテランがチームを牽引。この2人に加え、プレッチェル・アシュテンが11得点5リバウンド3スティールと攻守に渡って活躍した。

Wリーグは今シーズンから外国籍選手の登録規定を改正。これまでの通算5年以上日本に在留している条件が撤廃されたことで、留学生しかいなかった状況が一変し、欧州やアメリカ出身の選手たちが多くリーグに加入した。プレッチェルもその1人だ。

「トヨタはリーグ戦で素晴らしいレギュラーシーズンを送っていて、私たちにとってこの試合がタフなチャレンジとなることは分かっていました。その中でチームが1つになってやるべきことをやって、素晴らしい形で終えることができました」

こう試合を総括したプレッチェルは、自身のプレーについて続ける。「すべての試合で、常にコントロールできることはディフェンスとリバウンドだと思っています。だから(オコンクウォ スーザン)アマカ選手をゴール下からできるたけ遠ざけることを心がけました。私がリバウンドを取れなくても、それができればチームの助けになります。オフェンスではシュートチャンスでしっかり打つことで得点を狙っていきました」

196cmのサイズを誇る24歳のプレッチェルは、NCAAの名門スタンフォード大出身で、大学2年時、3年時にはNCAAトーナメントで2度ファイナル4に出場し、全米王者に輝いた経歴を持つ。2023年のWNBAドラフトでは3巡目全体34位指名を受けたが、WNBAでのプレー経験はなく、昨シーズンはハンガリーの強豪TFSE-MTKでプレーしていた。

プレッチェル アシュテン

「私も特別な意味を感じて皇后杯でプレーしています」

日本に来た理由をプレッチェルは「Wリーグが新しい外国籍のルールを導入するのを知って、自分にとって素晴らしい機会だと思いました。日本のバスケットボールが強いのは分かっていますし、いろいろなところでプレーして成長したい気持ちでした」と振り返る。

皇后杯でも精度の高い外角シュートが光ったが、「小さい時からシュートが好きです。大学では大半の場面でシューターとしてプレーしていました。その中で、自分の身長を生かしていきたいです」と、シュートへのこだわりを語る。

そして大学での濃密な経験が、自身の大きな支えになっているとプレッチェルは言う。「スタンフォードでは良い時も悪い時もありましたが、バスケットボールの基礎の部分をしっかり学び、自信をつけることができました。大学時代の経験は、バスケットボールだけでなくいろいろな面で生かせていて、どの国、どんな環境でも、自分の持ち味を生かせることに繋がっていると思います」

当然ながら、皇后杯でプレーするのは今回が初めてだ。日本バスケットボール界最古のトーナメントとして大きな権威のある大会だが、プレッチェルがそれを深く理解するのは本来なら難しい。だが、彼女は皇后杯の重みをしっかりと理解している。

「毎日、練習施設に入るとたくさんのリーグ優勝、皇后杯優勝のバナーを目にします。これを見てチームメート、スタッフ、ファンの皆さんが、どれだけこの大会の優勝を大事にしているのか分かります。だから私も特別な意味を感じて、皇后杯でプレーしています」

明日の決勝の相手はデンソーアイリスで、引き続きタフな試合となるのは間違いない。その中でプレッチェルのサイズを生かしたリバウンドや外角シュートといった攻守に渡る活躍はENEOSの勝利に欠かせない。大学2年時のNCAAトーナメント決勝戦では21分の出場で7得点8リバウンド3アシストの活躍で母校の全米王者に大きく貢献している。この時と同様のパフォーマンスを見せることができれば、結果もついてくるはずだ。