「大きい力になれていたかと言えばそうではなかった」
デンソーアイリスは『第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会』のファイナルラウンド準決勝で富士通レッドウェーブに81-60で勝利し、決勝へと駒を進めた。
デンソーは先発メンバーを上回る48得点をベンチメンバーが挙げたように、誰が出ても攻守ともに強度が落ちず、安定したゲーム運びができたことが快勝の要因となった。今野紀花も「ベンチから出てきた人たちが、今日は本当に良い味を出してできていたと思います」と試合を振り返る。
「皇后杯は総力戦で、一回負けたら終わりのトーナメント戦なので、本当に全員で戦わなきゃいけない大会です。ベンチから出た人もできることをやろうっていう気持ちでできて、そういう人が今日は多かったと思います。全員でリバウンドに行って、オフェンスリバウンドもよく取れていました。ディフェンスリバウンドを取って自分たちの良いオフェンスに繋げるという形が、良いリズムを作るきっかけになっていたと思います。チーム全員で戦えた良い試合でした」
前半は4点差と試合は拮抗していたが、後半に一気に突き放す完勝だった。今野も「富士通さんに約20点差。全員が今日みたいに強みを生かせればこういう試合ができます」と、あらためてチームが持つポテンシャルに自信をのぞかせた。
チームは決勝進出と順当に来ているが、今野自身は東京医療保健大学戦で無得点、アイシンウィングス戦で3得点と、その得点力が影を潜めていた。それだけに、「ここまで大きい力になれていたかと言えばそうではなかった」と自身を責める。それでも、この試合では16分のプレータイムで放った2本の3ポイントシュートを確実に沈め、プルアップでのミドルシュートも成功させて8得点を記録し勝利に貢献した。
もちろん、選手の良し悪しは得点だけでは測れず、チームに求められるプレーをどれだけ遂行できるかも重要だ。今野も「チームの役割があるので、まずは自分のパートをしっかりやろうという気持ちで気負わずにプレーしている」と言う。それでも、高校の頃から卓越したスキルを持ち、NCAA1部の強豪校であるルイビル大学に進学し、洗練されてWリーグ入りした彼女への期待は否応なく高くなる。得点やアシストなど、分かりやすい活躍も周囲から求められるが、それは彼女自身も十分理解している。そして「もっとできる」と己を信じている。
「今はチームの中でできることをやっていて成長途中というか。私ももっとできると思っています。自分の力をもっと(チームに)融合させて、パワーアップしたいです。本当に自分次第だと思っています」
決勝戦では相手に流れが傾く瞬間や悪い時間帯が続く場合もあるだろう。チームが劣勢に陥った時こそ、打開力を持った選手の活躍が求められる。「しっかり出し切れるようにしたい」と言う今野が違いを作ることができれば、それだけチームは頂点に近づく。
