ケイド・カニングハム

30得点10アシスト、相手の勢いを削ぐブロックも記録

ピストンズとマジックは、ともにディフェンスでのハードワークを軸に東カンファレンスで勝てない時期を抜け出し、プレーオフに復帰するまでチーム力を高めてきた。飛躍を期す今シーズン、ピストンズは立ち上がりの悪さが、マジックは終盤の失速が課題となっている。

現地10月29日にその両者がピストンズのホームで対戦。ピストンズはこの試合でもスロースタートとなり、第1クォーターで29-36とビハインドを背負う。それでも第2クォーター終盤に逆転に成功すると、後半は時間の経過とともにプレーの強度を保てないマジックを攻守に上回り、終わってみれば135-116の大勝となった。

ケイド・カニングハムは30得点6リバウンド10アシストを記録。第1クォーターは4得点と振るわなかったものの、ディフェンスからリズムをつかんでいく。エースのカニングハムが波に乗ることでチームも勢い付いた。勝敗のカギとなった第3クォーターには、ジェイレン・サッグスとデズモンド・ベインに対してブロックショットを記録。攻撃の起点を彼がつぶすことで、試合の流れはピストンズに大きく傾いた。

第4クォーター序盤には7点差だったが、ここから16-3のランで点差を20に広げた。ここでもカニングハムはダンカン・ロビンソンの3ポイントシュートをアシストし、自ら連続バスケット・カウントと巧みなフィンガーロール・レイアップで得点を重ねて勝負を決めた。

カニングハムは試合が進むごとに調子を上げられた理由を「いくつかあるけど、まずはチームメートの助けがあった」と語る。「良いスクリーンをセットし、僕のためにスペースを作ってくれた。そのおかげで効率の良いオフェンスを展開できた。もう一つは精神的な面だ。チームメートの後押しのおかげでアグレッシブにプレーできた」

ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは「アグレッシブであり続けたことだ。彼自身がダブルチームやトリプルチームを避けてアタックする道筋を見いだした。ピック&ロールに固執せず、アイソレーションの状況を増やす判断も良かったと思う」と言い、こう続ける。「結局のところ、彼は理由があるからケイド・カニングハムなんだよ(笑)」

今シーズンになって、リーグ全体でフィジカルコンタクトの基準が厳格化され、ピストンズやマジックのように力とハードワークで相手をねじ伏せるチームが不利になっていると言われる。ビッカースタッフはその傾向を認めながらも「ウチだけの問題ではない。試合が進む中でアジャストするだけだ」と苦戦の言い訳にはしない。

「昨シーズンはよりフィジカルなディフェンスが許されていた。今の我々は、フィジカルなプレーがどこまで許されるのか把握する移行期間にある。しかし、笛の基準よりも重要なのは手を伸ばしたり相手をつかむ不用意なファウルを減らすことだ。フィジカルは我々のアイデンティティであり、そこは失ってほしくない」

序盤の劣勢を巻き返しての快勝、そして3勝2敗と勝ち越す価値ある1勝となったが、カニングハムは「前の試合(キャバリアーズに95-116で完敗)が悪すぎたから、立て直すことができたのは良かった」と言うものの、まだ満足していない。

「僕たちはできる限りすべての試合に勝ちたいと思っている。まだ満足していないし、これからも貪欲に勝ちに行く。良い勝利だったけど、まだシーズンは始まったばかりだからね」