ディアンドレ・ジョーダン

チームは開幕3連敗と苦戦も「すべてはこれからだ」

ディアンドレ・ジョーダンはシーズン開幕の数日前にペリカンズと契約を結び、NBAキャリア18年目をスタートさせた。3シーズンを過ごしたナゲッツとの契約が満了した後はオファーがなく、引退もささやかれた。『ロブ・シティ』を支えたセンターも37歳になり、かつての身体能力は発揮できなくなっているが、チームを支える側に回ることを受け入れ、ムードメーカーとして、また若手に経験を伝える兄貴分として、その価値を認められた。

ペリカンズを率いるウィリー・グリーンは、現役時代に2012年からの2シーズンをクリッパーズで過ごし、当時は全盛期にあったジョーダンと一緒にプレーしている。「キャリアを通じて正しい行いを積み重ねてきたベテランの姿は、若い選手たちの良いお手本になる。それに今もまだコート上で仕事ができる。昨シーズンも出番は限られたが、チャンスを与えられた時に活躍する姿を見てきた」と、グリーンはかつてのチームメートを語る。

ペリカンズはNBAにおけるケガの代名詞とも言うべきザイオン・ウイリアムソンを擁し、イブ・ミッシ、ケボン・ルーニー、カルロ・マトコビッチとセンターが揃ってコンディションに不安を抱えている。それがギリギリのタイミングでジョーダンを獲得した理由なのだが、開幕から3試合ですでに3人のセンターとザイオンは少なくとも1試合を欠場しており、ジョーダンの出番はすぐにやって来た。

現地10月27日のセルティックス戦、ザイオンとルーニーが欠場した試合で、ジョーダンはキャリア7チーム目でのデビューを飾った。16歳年下のミッシに続くセンターの2番手という役割で第2クォーターの頭からコートに立つと、ゴール下で力強いプレーを見せて7分間で7得点3リバウンドを記録。第4クォーターも頭から登場して繋ぎの役割をこなしたが、彼が残り8分で下がった後は4-25とセルティックスに圧倒され、90-122の大敗となった。

それでもジョーダンは、11分のプレーで7得点5リバウンドを記録したデビュー戦を「最高だった。チームに少し溶け込めたと思うし、素晴らしいエネルギーを感じられた」と振り返る。「プレシーズンゲームに出ていないのに、いきなり緊迫した場面に放り出されたけど、できる限りチームに歩調を合わせて、僕らしくエネルギーを出そうと思った」

「すべてはこれからだ。ペリカンズとは何度も対戦してきて、どんなチームかは分かっているつもりだったけど、これから対話を多くしてより理解を深めていく。僕のプレースタイルが変わるわけじゃないから数試合で十分だ」

ここからペリカンズはナゲッツ戦、クリッパーズ戦が控えている。ジョーダンにとっては昨シーズンまでプレーしていたチームと、自分のキャリアを決定付けた懐かしい古巣との対戦だ。「宇宙の摂理が仕組んだ巡り合わせなんじゃないかな」と、ジョーダンは彼らしい表現でこの偶然を歓迎した。

「ナゲッツで過ごした3シーズンは素晴らしいものだったし、多くの友人と永遠に続くたくさんの思い出を作った。デンバーに戻ったら感傷的になるのは間違いないね。そしてクリッパーズはキャリアの最初の10年を過ごした場所だ。今でも彼らを愛している。その次のサンダーにも家族がいるから、僕にとっては素晴らしい遠征になるよ」

ペリカンズではフロントの交代があり、ジョー・デュマースがチーム編成を取り仕切ることになった。グリーンは前体制が指名したヘッドコーチで、続投にはなっているが結果を出せなければすぐ解任になる可能性がある。その状況で開幕3連敗、ザイオンは3試合目で早くも欠場と、ペリカンズを取り巻く空気は早くも不穏なものになっている。

しかし、経験豊富なジョーダンはここで騒いでも何のメリットもないことを理解しており、前向きであろうとしている。その姿勢は指揮官グリーンにとって何よりもありがたいはずだ。