「みんなを引き上げていくのは重要なことです」
琉球ゴールデンキングスは10月25日、ホームで行われた群馬クレインサンダーズとの第1戦を83-89で競り負けた。これでチームは4勝4敗となっている。
この試合、琉球は個人的な事情からケヴェ・アルマが欠場。右第3中手骨骨折で離脱中の脇真大と合わせ主力2人を欠いていた。そのため、ベンチメンバーのステップアップで苦境を乗り越えたいところだった。得失点差で岸本隆一がプラス12、小野寺祥太がプラス10と、経験豊富な先発ガード陣がコートに立っている時はリードを奪っていながらも敗れたことは、ベンチメンバーの苦戦ぶりを物語っている。
実際、第3クォーター終盤から第4クォーター序盤にかけ、控えガード陣のミスは大きな痛手となった。ただ、経験不足のベンチメンバーのところでミスが出てしまうのはチームにとって織り込み済みな部分もある。だからこそ、桶谷大ヘッドコーチは試合後、「若い選手がミスをするのをわかっています。だからこそ、もっとチャレンジしてほしいし、発奮してほしいです」と語る。
昨シーズンまでの4年連続ファイナル進出が示すように、琉球はリーグ1の安定感を誇っている。この強さは主力の移籍や故障者によるマイナスを、若手の台頭やベンチメンバーのステップアップによって補った歴史でもある。
チームリーダーで本日33得点と大暴れだったヴィック・ローは、「キャプテンである僕の仕事の中でもチームメートを支え、みんなを引き上げていくのは重要なことです」と語り、次のように若手の成長を促したいと続ける。
「僕たちには有望な若手選手がいて、日本人選手たちはタレントに優れています。若い選手たちが成功体験を得るためには、チーム全員が良い仕事をしないといけないです。そして僕はリーダーであり、ボールを多く持つ選手として(崎濱)秀斗や平良(宗龍)など若手選手たちに自信を持たせないといけない。自信があれば彼らは積極的にプレーしたり、シュートを打ったりしても、他の選手が攻める機会を奪っていると感じることはないです」

「脇と同じような成長を秀斗がしてくれると期待」
そしてローは若手のステップアップこそが琉球の強さの基盤になると考えている。「琉球の強みは、多くの選手がプレーし、たくさんのラインアップを組めることです。それができるのも若手選手の活躍があってこそ。昨シーズン、僕たちが脅威になったのはルーキーだった脇がどんどん成長し、自信をつけていったからです。同じような成長を秀斗がしてくれると期待しています。彼にはミスすることを恐れず、自信を持ち続けてほしいです。若手にはそれが大切です。ミスをして酷い内容の試合で終わることはあります。それでもチャレンジをしていくことで、いつ攻めていくべきかが分かるようになります。自分もこの経験をしてきたから大変さはわかります」
ここまでの琉球は開幕節の連敗スタートも含め、接戦に勝ちきれない試合が続き勝ち星が中々増えていかない。これまでの実績を考えれば、シーズン序盤とはいえリーグ中位の現状を不安視する声も少なくない。だが、ローに焦りはない。「勝つこともあれば、負けることもあるものです。そして僕たちは4年連続でファイナルに進出しています。なにより大好きなバスケットボールをプレーして収入を得られている。それでプレッシャーを感じることはないです。Bリーグは長いシーズンです。目先の結果に悩んだりすることはないです」
そして、ローが何よりも大切にしていることは、どんな時でも歩みを止めないことだ。「僕たちは毎試合、少しでも成長を続けていかないといけない。もちろん負けたくはないけど、何よりもチームがまとまって前に進んでいく必要があります。それができれば、シーズンが進むにつれて勝ち星を増やしていくことができます」
もちろん、今の順位に決して満足はしていない。それでもローはチーム力の底上げの大切さを理解しつつ、足元を見つめてチームを引っ張っていく。
