小澤飛悠

21歳になったばかりのルーキーがチーム最多の貢献度を記録

105日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはホームでレバンガ北海道との第2戦を戦った。前日の第1戦は、最終クォーターまで競った展開から終盤にリードを築いて勝利。第2戦は前半こそ終始ビハインドだったが第3クォーターで追い上げ、以後は1点を争う緊迫した試合となったが、あと一歩およばず77-81で敗れた。

前半の名古屋Dは、北海道の速い展開とボールムーブに対応しきれず、ファウルもかさんで45失点。本来のディフェンス強度を保つことができなかった。オフェンスではリズムがつかめず、ターンオーバーを12本も犯したが、オフェンスリバウンドでポゼッションを取り戻し38得点を挙げた。後半は今村佳太の3ポイントシュートやオフェンスリバウンドで巻き返しを図り、最大15点差までついたビハインドから3点差まで詰めて最終クォーターを迎えたものの、要所で得点することができずに惜敗した。

この試合で存在感を示したのが、日本体育大を中途退学してプロに転向したルーキーの小澤飛悠。前日に21歳の誕生日を迎えたばかりの期待の若手フォワードは、第1戦で104秒の出場時間があったものの無得点に終わり、持ち前のスコアリング能力は発揮しきれなかった。

2戦では、アーロン・ヘンリーがベンチに下がるタイミングでコートに立ち、第2クォーター残り16秒に3ポイントシュートを沈めてBリーグ初得点。2桁点差から1桁点差に戻す起死回生の得点に会場は大きく湧き、小澤も満面の笑みを浮かべた。

小澤は第3クォーターにも見せ場を作る。2本目の3ポイントシュートに続き、ボールプッシュで駆け上がるとゴール下で待ち構えるジャリル・オカフォーに臆せずレイアップを決めてみせた。アグレッシブなプレーを評価されて、競った展開の最終クォーターでもコートに立ち、最終的に1417秒の出場で8得点1アシスト、プラスマイナス(個人がコートに立っている時間帯の得失点差)ではチーム最多の22を記録した。層が厚い名古屋Dにおいて、21歳のルーキーとしては十分に評価できるスタッツと活躍だ。

小澤飛悠

「仲間から信用されるような選手になれるように」

しかし試合後は敗戦の悔しさも相まってか、自身のパフォーマンスに対しての反省が多く聞かれた。「課題しか見つからなかった2日間でした。今日はたまたまシュートが入っただけで満足していないし、もっとできます。チームとしても、もっとテンポよく楽しい、名古屋Dらしい試合ができると思っています」

小澤が「課題」と言ったのは主にディフェンス面である。ショーン・デニスヘッドコーチも「いずれは素晴らしい選手になると信じています」と期待しつつも、「そのためにはディフェンスをやらないといけない」とコメント。小澤自身もそれを理解した上で修正ポイントを明確にする。「胸で守らないといけないところで手が出てしまい、ファウルを吹かれました。オフボールではスクリーンをかわすことができずに、ズレを作らせてしまいました。そこを修正すればプレータイムはもっと伸びると思います」

逆にオフェンス面では「自信を持ってやるだけ」と話す通り、積極的なプレーが多かった。結果的には得点に繋がらなかったものの、最終クォーターでもハンドリングからドライブを仕掛けレイアップを狙うプレーが連続であった。「強心臓」と言えるオフェンスは将来性を強く感じさせるものだった。

さらにデニスヘッドコーチからはパスも期待されている。この試合ではスコット・エサトンの得点をお膳立てする鋭いアシストがあった。小澤は「最初にヘッドコーチと話したときに『パスが良い』と言われたのですが、意識していなかったところだったので『ん?パスですか?』という感じでした」と笑った後、「シューターなので、ビッグマンが出てきた時にポケットパスを出すプレーを増やしていけば、守りにくい選手になれるのかな」と自身の幅が広がる可能性を感じている。

これからどんなプレーヤーになっていきたいかと尋ねると、頼もしい答えが返ってきた。「比江島さん(比江島慎、宇都宮ブレックス)は、ドライブもスリーもディフェンスもできて、コートにいればチームが安心するのが見ていて分かります。プレーで引っ張ることもそうですが、仲間から信用されるような選手になれるように意識してやっていきます」

初めてBリーグでプレーした今節で、課題や手応えがたくさん見えただろう。その一つひとつを糧にしていき、成長を続け、いずれ日本代表にも名を連ねることが期待される。『飛悠』の名のごとく、大きな飛躍をしてくれるに違いない。