16年ぶりのメダル「全員で勝ち取る必要があった」
ユーロバスケット最終日、ギリシャとフィンランドの3位決定戦は、ギリシャが常にリードしながらも粘るフィンランドを突き放せず、大混戦となった。第4クォーター残り3分半でギリシャは17点をリードしていたが、ラウリ・マルカネンを中心とする猛反撃を浴びて残り20秒で2点差と肉薄された。残り5秒でエリアス・バルトネンが決まれば同点となる3本目のフリースローを外し、ギリシャは辛くも逃げ切った。
優勝候補に挙げられたギリシャは準決勝でトルコに敗れ、3位に終わった。それでも、チームの面々は互いの健闘を称え、メダル獲得を大いに喜んだ。ヤニス・アデトクンボに至ってはベンチに座って静かに喜びの涙を流していた。
ヘッドコーチを務めるバシリス・スパヌリスは「準決勝を除けば、大会を通じて素晴らしい戦いができた。このチームを誇りに思う」と語った。「このメダルは、すべてのギリシャ国民、ここにいる人々に贈るものだ。ギリシャがメダルを獲得するのは私が現役だった2009年以来のことだ。今度はヤニスたちの世代がメダルを受け取る番だ。彼らを率いて大会に臨めたことに感謝したい」
エースのヤニス・アデトクンボは、3位決定戦で30得点17リバウンド6アシストを記録。大会前のテストマッチやグループリーグの何試合かを欠場し、万全のコンディションではなかったが、肝心な場面ではスター選手としての力を発揮した。
「コーチの言う通り、16年ぶりにギリシャに成功をもたらすことができて幸せだ」とアデトクンボは言う。「2カ月前のトレーニングキャンプ初日から、僕らはすごく集中してバスケに取り組んできた。メダル獲得が目標で、自分たちがそれに値するかどうかは全員の努力で勝ち取る必要があった。選手だけじゃなくコーチやスタッフも含めた全員が、すべてを出し尽くした。久しぶりにメダルを獲得できて幸せだし、安堵感を抱いている」
NBAではバックスでの優勝を始め、あらゆる栄誉を勝ち取ってきたアデトクンボだが、代表で確たる成果を残すのは初めてのことだ。「今まで達成できていなかったことが達成できて良かった。バックスでの優勝よりうれしいとは言わないけど、それに劣らない。ミルウォーキーは素晴らしい街だけど、人口は50万人か60万人で、それに対して今回は1200万人のギリシャ国民を幸せにできる」
「前の世代が僕たちに対してそうしたように、僕たちも次の世代を鼓舞できたと思う。今、テレビでこの試合を見ている子供たちが大喜びしながら『自分も将来は代表チームでメダルを獲得できる』と感じる。それが最大の功績だ。僕も2006年のワールドカップで代表チームがアメリカを破って準優勝した時に、そう感じた子供だった。あれから約20年の時を経て、僕はメダルを首にかけて表彰台に立った。キャリアの中でも最高に素晴らしい瞬間だよ」
2つの敗戦を乗り越える「失敗を経て強くなった」
ギリシャはグループリーグでボスニア・ヘルツェゴビナに、決勝トーナメントではトルコにと2敗を喫した。それでもアデトクンボは大会を振り返り、その2敗から立ち直った自分たちを称えた。「僕らは失敗を経て強くなった。大会前のテストマッチの時から、みんなでコミュニケーションを取り、誰かが失敗すればすぐに声を掛け合い、アドバイスをした」
アデトクンボはこう続ける。「失敗したっていい。僕らはマイケル・ジョーダンでも、コービー・ブライアントでも、バシリス・スパヌリスでもないんだから、失敗しないわけがない。大事なのは、失敗から学ぶこと。そして僕は、このチームは必ずやれると信じていた。ボスニア・ヘルツェゴビナに負けた次の試合から僕らは強くなった。トルコ相手に最悪のゲームをやってしまったけど、試合後のロッカールームで僕らは何も言葉にしなくても、お互いの目を見るだけで次に何をすべきかは分かっていた。あの瞬間が大好きなんだ。素晴らしい選手が集まった素晴らしいチームだよ」
「1200万人の人々を幸せにできた時の感情は、今まで味わったことがなかった。みんながテレビをつけて僕らを応援し、楽しんでくれたなら最高にうれしい。そんな人々に僕は『信じれば何だって可能だ』とメッセージを送ったつもりだ。多くの子供たちが今日の出来事に触発され『いつか僕も』と思う。その子たちが代表選手へと成長する頃には、僕はスパヌリスのアシスタントコーチとして代表チームにいるかもしれない。そうでなくてもコートサイドから応援するつもりだ」
 
                                            

 
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                 
                 
                 
                