渡邊雄太

6シーズンに渡るNBA挑戦を経て千葉ジェッツに加入した渡邊雄太だったが、開幕直後から故障に苦しめられ、レギュラーシーズンは全試合の半分程度しか出場できなかった。今夏、渡邊はどんなにタフな状況でも毎年参加していた日本代表の活動を見送り、満身創痍だった身体の回復を優先。より万全の状態で新シーズンへと臨むべく、準備に励んでいる。

「早くシーズンインしてほしいという気持ちです」

──この夏は、プロになって初めて日本代表活動に参加しないという選択をされました。どのようなテーマで過ごしていますか?

『健康』がこの夏の一番のテーマです。まずシーズンが終わって2週間くらい何もしない時期を作り、しっかりケガを治し、ケガをしにくい身体を作るためのトレーニングを頑張っています。今まで夏は代表活動があって、あまりトレーニングができずにシーズンに入っていました。昨シーズンはオリンピック前にケガをし、万全ではない状態でオリンピックでプレーし、そのままプレシーズンゲームが始まった感じでした。今シーズンはどこにも故障箇所がない状態で開幕を迎えたいです。

もちろん実際に試合をやってみないことには、自分の身体がどれだけ仕上がっているのかは分かりにくい部分はありますが、今は感覚的にすごく良い状態で練習ができているので、早くシーズンインしてほしいという気持ちでトレーニングを続けています。

──開幕に照準を合わせてトレーニングしている一方、830日には地元の香川でプレシーズンが開催されます。地元凱旋のこの試合を意識する部分はありますか?

意識しますね。だからこそ、ゲームの持っていき方が難しいところもあります。開幕まで1カ月以上あるので、この試合にピークを持っていくのはちょっと早すぎる。でも、やっぱり香川で僕のことを見たい人たちは他の場所より多いはずで、そういう人たちに中途半端なプレーはできません。ありがたいことに、試合が発表されてから地元の友達などがたくさん連絡をくれて、みんなすごく楽しみにしてくれています。コートに立っている時はできる限りの力を出して、しっかりしたプレーを見せなければいけないという気持ちです。

渡邊雄太

「今年は絶対優勝します」

──ここからは新シーズンのお話をうかがっていきます。注目の新戦力ナシール・リトル選手は、渡邊選手のサンズ時代のチームメートでした。ファンの皆さんに、どんな選手か紹介してください。

彼はとても身体能力が高く、シュート力に加えディフェンス力もあります。すべてをハイレベルにこなし中心として活躍できる選手です。NBAでロールプレーヤーとしてやっていた経験もジェッツで生きると思います。また、彼は爆発力があり、速さ、強さ、跳躍力を備えています。バスケットボールを知っている人はもちろん、あまりくわしくない人が見ても「なんだこの選手!?」と思うような迫力あるプレーを見せてくれますし、彼とまた一緒にプレーできることがすごく楽しみです。

──その他の主力メンバーは昨シーズンとほとんど変わりません。

これは本当に大きいと思います。昨シーズン、宇都宮さんやアルバルク東京さんなどメンバーがほとんど変わっていないチームの完成度の高さを感じていました。今シーズンはヘッドコーチも続投ですし、選手も数人変わっただけ。去年から継続してできることは間違いなく自分たちの強みになる。チームとしての完成度をどれだけ積み上げていけるかが、とても重要になってきます。

──NBAは上位チームでもロースターがシーズンごとに5〜6人と変わるのが当たり前の世界です。渡邊選手にとっても、ここまで同じメンバーでプレーできるのは大学以来かと思います。

大学でさえ転校によってメンバーが大きく変わることがあったので、ここまで同じメンバーでできることはすごくうれしいですね。NBAの時は僕自身がチームを転々とする立場でもありました。だからこそ、みんなでいい結果を残したいという気持ちがより強くなります。

──新シーズン、自身に課したいノルマや目標はありますか?

チーム優勝が大前提なので、アワードなど個人賞については気にしていません。ただ、「楽しむ」ことにあまりとらわれすぎないようにしたいです。結局、勝った試合こそが楽しいですし、楽しむことを考えすぎて中途半端なプレーでチームが負けることが最も楽しくない。NBAでプレーしていたころのようなハングリーさを出していきたいです。

──アウェーの観客に「渡邊選手のプレーを見られてうれしい」と思わせるどころか、ボールを持ったらブーイングを浴びるくらいの圧倒的なプレーを見せたいという感じでしょうか。

日本ではなかなか起こりにくいと思いますが、そうなるくらいのプレーをしていきたいです。選手入場の際にアウェーチームを大きな拍手で迎えてくれるといったところは日本の良さですが、去年はそういうところに甘えてしまっていたところがありました。やっぱりコートに立っている時、お客さんも含めてアウェーゲームはみんな敵です。そういう意味で、キラー・インスティンクト(Killer Instinct=対戦相手を容赦なく叩き潰すようなメンタル)をしっかり持ち続けてシーズンを過ごしたいです。

──最後に、千葉Jファン、日本のバスケットボールファンに伝えたいメッセージをお願いします。

まずジェッツのファンの皆さんには「今年は絶対優勝します」、バスケファンの方たちには「皆さんの応援、会場に足を運んでくれるおかげでBリーグは盛り上がり、NBA経験者がたくさん来てくれるリーグになっています。今後とも熱い応援と、サポートのほどよろしくお願いします」と伝えたいです。