富樫勇樹

練習3回、練習試合2回で大会に突入

男子バスケットボール日本代表は『FIBAアジアカップ2025』の初戦でシリアに99-68で勝利。前半は精彩を欠いたが、後半は67得点とオフェンスが爆発した。

今大会のメンバーで最も代表経験が豊富な富樫勇樹は、87日の練習後、「100点近く取れたことは、ゲームプランとして良いと思います。第2クォーター、相手にかなりのランをくらったのは大きな反省でしたが、後半しっかりと遅れを取り戻せたのはよかったです」と初戦を振り返った。

富樫はシリア戦で1245秒出場の9得点3アシストを記録。大会直前にチームに合流、調整途中ながらさすがのプレーを見せた。

富樫は今の自身の状態をこう語る。「オフシーズンなので所属チームの練習もなく、55をやる環境がなかった。そのような状態で合流し、2回の練習でカタールに行き、しっかりした練習を1回、練習試合を2試合やって初戦を迎えました。コンディションは悪くありませんが、他の選手に比べると違いはあります」

そして「そういう中で25年のバスケットボール歴を生かすしかないと思います」と、万全ではないコンディションやゲーム勘を言い訳しない。チームメートとの連携については「新しいチームルールもありますが、試合になれば結局は、出ている5人の合わせやスペースの状況判断をベースにプレーすることになるので大丈夫だと思います」と語った。

富樫勇樹

「良いプレーをしていれば長い時間出ることになる」

カタールでの練習試合からシリア戦まで、富樫はテーブス海の控えとしての起用が続いている。この起用法は予定通りだ。

「トムさん(トム・ホーバスヘッドコーチ)からはチームに合流する前から『海の控えでベンチから出す予定』と言われています。海がメインのポイントガードとして25分からそれ以上の時間、コートに立ち、僕が10分から15分くらいプレーする。そういう役割の中で問題なくできていると思います」

ただ、この時間はあくまで目安だ。「トムさんは第4クォーターは、その試合で調子の良い選手を使う監督です。良いプレーをしていれば長い時間出ることになる。プレータイムはあまり気にせず、コートに出ている時間は自分のプレーをしたいと思います」と、プレータイムが伸びる心構えはしっかりできている。

富樫は、20172022大会に続いて3度目のアジアカップ出場。『FIBAワールドカップ2023』でアジア1位となり、パリオリンピック出場権を獲得した日本代表だが、アジアカップで最後に優勝したのは1971年。4強入りも2015年が最後だ。

2017年はベスト8決定戦敗退、2022年はベスト8敗退と悔しい思いをしてきた富樫は、この大会にかける強い思いを語る。

FIBAランキングでは(オセアニアを除く)アジアで1位でも、アジアカップではしばらく上位になっていないので、この大会で日本の強さを証明しないといけません。(八村)塁、河村(勇輝)、(渡邊)雄太やマコ(比江島慎)はいないですが、それでもまずはグループリーグを1位で通過し、準決勝では前回ベスト8で負けたオーストラリアにリベンジしたいです」

優勝への道のりを考えた場合、グループリーグ1位となってベスト8行きを決めるのと、2位以下となりベスト8決定戦へ進むのでは勝ち進む難易度がまったく違う。8日のイラン戦は今大会の日本の命運に大きな影響を与える分かれ道だ。

この重圧がかかる状況において、富樫の安定したプレーとここ一番の勝負強さは、日本の大きな力となってくるだろう。