クリス・ポール&ブラッドリー・ビール

「クリスが『CP3』と呼ばれる理由を理解していた」

クリス・ポールはクリッパーズに復帰し、背番号3のユニフォームを着用する。当然のように見えるが、ここには一人の選手の譲歩があった。キャリアを通じて3番を着けていたブラッドリー・ビールだ。

サンズとの契約をバイアウトしてフリーエージェントになったビールは、ポールより先にクリッパーズ加入を決めていた。昨シーズンのクリッパーズでは背番号3が使われておらず、この時点でビールが3番を着用するはずだった。それでも彼は、ポール加入が実現すると分かった時点でこれを手放した。

クリッパーズのローレンス・フランク球団社長はその背景を興奮気味に明かす。「これはまだクリス本人も知らないことだが、ブラッド(ビール)はチームメートとして最高の男だ。キャリアを通じて3番を背負い、3度のオールスター選出、通算1万7000得点以上という実績を残してきたにもかかわらず、3番がクリスにとって何を意味するのかを理解していた」

「クリスが『CP3』と呼ばれる理由、クリスがクリッパーズに戻って来ることの意味。ブラッドはそれを理解し、背番号3を譲ると自ら申し出た。彼がどの番号を着けるかはまだ決まっていないが、素晴らしい行為だった」

これでクリッパーズは14選手の契約が決まり、ロスタースポットをあと1つ残すのみとなった。フランク球団社長は「ファーストエプロンまで余裕はほとんどなく、超過は避けたい」と語り、ビッグネームの獲得はこれで打ち止めとなる。

「我々には実績のある選手が11人いて、おそらく9人でのローテーションになる。全員が健康にシーズンを過ごしてほしいが、現実的にはそうはいかないだろう。昨シーズンはジェームズ(ハーデン)が79試合に出場し、リーグで5番目に長いプレータイムとなった。今シーズンも同じ活躍を望んでいるが、補強が必要だった。80試合に出場したズー(イビチャ・ズバッツ)も同じで、過度に依存したくなかった。そこにクリスとブルック(ロペス)を加えられたのは素晴らしい補強だ」

とはいえ、ポールは40歳でロペスは37歳、ビールは32歳。主力のハーデンが35歳、カワイ・レナードが34歳となっている。サンダーが若いロスターでNBA優勝を勝ち取り、若手をどう活用するかが優勝のカギとなっている今のNBAにおいて、リーグ屈指の『年寄りチーム』であることはクリッパーズの不安要素だ。しかし、フランク球団社長は「昨シーズンのクリスは82試合、ブルックは80試合に出場している」と反論する。

「年齢で人々が心配するのはケガのリスクが高まることだ。だから我々は選手層の厚みを重視した。クリスとブルックはベテランでもケガに強く、なおかつこのチームに加わるために控えの役割を受け入れてくれた。素晴らしいロスターができたと思っている。現時点では机上の計算に過ぎないが、コート上でそれが実証されるのを楽しみにしているよ」