ケビン・デュラント

今年の10位指名権も得たサンズ、次の動きに注目

ケビン・デュラントのトレード先はロケッツに決まった。サンズはデュラントを放出し、ジェイレン・グリーンとディロン・ブルックス、今年のNBAドラフト10位指名権、5つの2巡目指名権を獲得する。

サンズは2023年にデュラントを獲得し、その対価としてミケル・ブリッジズとキャム・ジョンソン、1巡目指名権4つを放出している。それから2年が経過し、昨シーズンはファーストラウンドでスウィープ負け、今シーズンはプレーオフ進出すら逃し、勝てないまま36歳になったデュラントの価値は下がった。

それでもチームは完全に行き詰まっており、新GMに就任したブライアン・グレゴリーがやるべきは『リセット』だった。デュラントに見合った対価を得られたわけではないが、とにかく動く必要があり、今回のトレードはその第一歩。次はブラッドリー・ビールの放出に動くとともに、10位と29位の指名権をいかに有効活用できるかがカギとなる。

ロケッツは再建を終え、指揮官イメイ・ユドカの下でタフに戦えるチームとして成長した。今シーズンは52勝を挙げて激戦の西カンファレンスで2位と躍進。若いチームは伸びしろを残していたが、問題は接戦を勝ちきるクラッチ力を欠くことで、プレーオフではその問題が顕著だった。さらには、ロケッツと同じタイムラインでサンダーがこれから黄金期を築こうとしており、ステフィン・カリーのウォリアーズの後塵を拝し続けたジェームズ・ハーデン時代の再現となるリスクがあった。

今のNBAでは、目の前にチャンスがあればすぐにつかみ取りに行く必要がある。若手はすぐにベテランとなり、高額契約の対象となる。36歳のエースを獲得するために23歳のエース候補を放出することになったが、グリーンは好不調の波が激しく、特にプレーオフで勝負どころを託せるだけの信頼感を欠いていた。『今、勝つ』のであればデュラントの方が計算できるのは間違いない。

デュラントは新シーズン開幕前に37歳になり、アスリートとしてのピークは過ぎているとしても、そのスキルとIQは年齢によって衰えるものではない。今シーズンは62試合に出場し、リーグ6位の26.6得点を記録。若い活力がみなぎるロケッツで、若返ったパフォーマンスに期待したい。