ハワイ大で腕を磨き、状況判断とフィジカルが向上
6月13日から始まった男子日本代表のディベロップメントキャンプには、将来性豊かな多くの若手選手たちが招集された。その中で一番の代表経験を誇るのが、パリオリンピック代表のジェイコブス晶だ。
21歳のジェイコブスは過去2年間、ハワイ大でプレー。昨シーズンは30試合出場で平均18.9分、6.9得点、2.6リバウンドと主力の一員を担い、今秋からはさらなるステップアップのためフォーダム大へと転校する。フォーダム大が所属するアトランティック10カンファレンスは、ハワイ大のビッグウェストカンファレンスよりもレベルが高いと評価されており、より厳しい相手との試合を重ねることができる。
ジェイコブスの持ち味は203cmのサイズがありながら、3ポイントシュートを決め切れるシュート力を持っていること。それに加えて、ゴール下への効果的なアタックを可能とする状況判断、フィジカルの強さが増したとジェイコブスは話す。
「一番大きいのは、シューターとしてスカウティングされ激しくクローズアウトされた時は、ドライブからのフィッシュに持ち込むなど判断が良くなったことです。また、インサイドでの強さも良くなったと思います」
代表活動に参加するのは今年で3年目。トム・ホーバスヘッドコーチのスタイルを熟知しているジェイコブスは、この合宿では周囲を引っ張っていく役割も担う。
「最初の合宿は何をすればいいか分からず、先輩についていく場面が多かったですが、今は何をするのかわかっています。新しいメンバーに次の行動を指示したり、ディフェンスでのコミュニケーションを頑張ってやっています」
「1年前と比べて、自分がどれだけできるのか見せられるチャンス」
今夏の男子代表の目標は、8月に行われる『FIBAアジアカップ2025』での優勝だ。中心選手である渡邊雄太や比江島慎はコンディション面から欠場。ジェイコブスはベテランの穴を埋める存在として大きな注目を集めている1人だ。
「本当は渡邊雄太さんなどにいてほしいです」と率直な思いを語る一方で、「いないことで自分のチャンスも増えますし、もっと活躍しないといけないです。1年前と比べて、自分がどれだけできるのか見せられるチャンスなので、期待してほしいです」と頼もしい。
3番ポジションが本職のジェイコブスだが、206cmの渡邊を欠くチームではゴール下でのディフェンス、リバウンド面での貢献も求められる。しかしジェイコブスはこれをポジティブに受け止め「いつも期待されているシュートに加え、サイズがある選手とインサイドでマッチアップできるところも見せたい。そのために鍛えているのでハードなプレーをしていきたいです」と、インサイドでの守備にも自信を見せる。
また、「誰がいても、A代表の合宿3年目ですし、自分の中では若手と考えたくないメンタルです。フル代表でも自分が引っ張っていくべき場面ではそうしていきたい。それも自分のためになりますし、ディベロップメントだけでなく、フル代表でもしっかりと声を出していきたいです」と心身ともに主力となる準備はできている。
振り返れば、前回のアジアカップでは河村勇輝、吉井裕鷹らが主力として経験を積み、その後の『FIBAワールドカップ2023』における躍進へと繋げた。そしてジェイコブスは、「アジアカップは若手が上がってきたステージで、僕も同じように主力へと繋がるファーストステップにしたいです」と先輩たちの後に続くことしか考えていない。